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2018 年度 実績報告書

表面凹凸と物質・熱移動特性のばらつきが裸地表面-大気間の水分・熱交換に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 17H03885
研究機関東京農工大学

研究代表者

斎藤 広隆  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)

研究分担者 辰己 賢一  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40505781)
山下 恵  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70523596)
小島 悠揮  岐阜大学, 工学部, 助教 (70767475)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード水分蒸発 / 蒸発法 / 数値解析
研究実績の概要

本研究は,地表面凹凸構造や,土の物質移動特性の空間的なばらつきが,裸地において地表面-大気間の水および熱の交換過程に与える影響を実験的研究より明らかにし,地表面付近の空気流れモデルと土中物質移動モデルを結合し,地表面凹凸や物質移動特性のばらつきを考慮可能な裸地表面からの水分蒸発を予測する数値解析モデルを構築することを目的として,室内実験ならびに数値解析により研究を進めた.
本年度は,昨年度(H29年度)に引き続き,室内実験として1)土カラムからの水分蒸発実験の基礎となる土壌の物性値を求めるための蒸発法を用い,土試料の種類を変えながら,異なるデータ解析方法(簡易法および数値解法)について比較検討し,2)昨年度開発した二次元熱プローブを用い,地中熱蒸発量の二次元的な定量化について検討し,さらには3)畝間のような地表面凹凸を再現した土槽を用いて,地表面凹凸が蒸発過程に与える影響を明らかにする蒸発実験を実施した.実験の結果,1)蒸発法を用いたときに,砂のような粒径の大きな土の場合数値解析に基づく逆解析が必要であるが,シルトのような比較的細粒に土については簡易法でも土の水分移動パラメータを精度よく推定できること,2)地表面凹凸がある場合,風のあたり方で蒸発速度に影響があること,3)顕熱収支法によって土中蒸発量を二次元的に定量化できること,などが示された.一方で,開発したヒートパルスプローブの蒸発量推定に関する精度については今後さらなる検証が必要とされた.また,ほ場でのモニタリング実験に関連した,実験場所の整備並びにセンサー類のキャリブレーションや設置を進めた.
数値解析については,プログラムの開発を進める一方で,上記様々な実験結果の再現等に向けてデータの解析に関しても適宜進めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

室内実験を中心に当初計画していた様々な実験を進め,地表面凹凸があるなかでの蒸発実験や,開発した二次元蒸発量推定のためのヒートパルスプローブを用いた実証実験などで,貴重なデータを得ることができ,国際会議等で発表する機会を得た.土中液状水・水蒸気・熱移動解析に関しては,実験データの解析を中心に進めており,研究の取りまとめに向けてさらに実験・解析を進めていく.

今後の研究の推進方策

今後はこれまでの室内実験と解析に加えて,フィールドでのモニタリング研究をより一層進めていく.東京農工大学フィールドサイエンスの研究ほ場内一区画を利用して,モニタリングに向けたセンサー等を設置しており,畝間等を模した形で地表面での凹凸を再現し,裸地を維持したまま,地表面からの蒸発ならびに土中温度・水分量を同時にモニタリングし,凹凸があることによる日射の当たり方や風の当たり方が,土中の水・熱移動に与える影響を実証的に明らかにする.そして,モニタリングデータを用いて,土中液状水・水蒸気・熱移動解析を進め,境界条件(地表面凹凸や不均一性)が与える影響について定量的に明らかにしていく.また,室内実験においては,風洞を用いた蒸発実験を進め,風量・風速や地表面凹凸など境界での条件が,地表面からの水分蒸発,ひいては土中の水・熱動態に与える影響を明らかにしていく.

今年度は最終年度でもあるので,これまでの研究成果を積極的に国際会議や論文として発表していく.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Estimation of Global and Diffuse Photosynthetic Photon Flux Density under Various Sky Conditions Using Ground-Based Whole-Sky Images2019

    • 著者名/発表者名
      M. Yamashita and M. Yoshimura
    • 雑誌名

      Remote Sensing

      巻: 11 ページ: 932

    • DOI

      10.3390/rs11080932

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Performance of the tangential model of soil water retention curves for various soil texture classes2019

    • 著者名/発表者名
      Thiam, M., D.Q., Thuyet, H., Saito, and Y. Kohgo
    • 雑誌名

      Geoderma

      巻: 337 ページ: 514-523

    • DOI

      10.1016/j.geoderma.2018.10.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Monthly variability in the photosynthetic capacities, leaf mass per area and leaf nitrogen contents of rice (Oryza sativa L.) plants and their correlations2019

    • 著者名/発表者名
      Kenichi Tatsumi, Yoshiki Kuwabara, Takashi Motobayashi
    • 雑誌名

      Journal of Agricultural Meteorology

      巻: 75 ページ: 11-119

    • DOI

      10.2480/agrmet.D-18-00043

    • 査読あり
  • [学会発表] Quantifying Two-Dimensional Subsurface Evaporation Rates from Sensible Heat Balance2019

    • 著者名/発表者名
      Yuki Kojima, Hirotaka Saito, Joshua L. Heitman, and Robert Horton
    • 学会等名
      2018-2019 International Soils Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 顕熱収支法による二次元地中蒸発量の定量化2018

    • 著者名/発表者名
      小島 悠揮,斎藤 広隆
    • 学会等名
      2018年度農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] 地形による光環境の差異が 水稲の生長・収量に及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      桒原良樹,辰己賢一
    • 学会等名
      農業気象学会

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公開日: 2019-12-27  

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