研究課題/領域番号 |
17H03886
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
福田 信二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70437771)
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研究分担者 |
木村 匡臣 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80725664)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水資源 / 水工水理学 / 生態系修復・整備 / 人工知能 / 農業工学 / 生態水理学 |
研究実績の概要 |
本年度は、府中用水と矢川における生態水理基礎データの収集を継続し、月別の調査により、計29区間の12か月分のデータを収集し、水理シミュレータ開発に向けた基盤の整備が進展した。また、矢川における網羅的な生態水理解析のための測量調査と物理環境調査を実施した。結果として、108断面で延長1.3kmにおよぶ流程の物理環境情報が収集された。本研究では、まず初期モデルとして、定常流況を再現するための簡易的水理モデルを構築し、全流程に適用した。同モデルに各調査月のデータを入力することにより、年間を通した流況の変化と魚類生息環境の変動の再現を試みた。結果として、プロトタイプではあるが、生態水理解析によって、流況と魚類の生息場ポテンシャルの網羅的マッピングが可能になった。この成果は、Journal of Ecohydraulics誌に国際共著論文として掲載が決定した。 また、水理解析において、植生が流速分布に及ぼす影響を把握するために、室内実験と現地調査を実施した。結果として、植生内での流速低減効果が定量化され、一次元水理解析時の適用に向けた知見を得ることができた。 さらに、魚類の移出入の状況を確認するために、矢川を対象に各月5日間の連続観測を実施した。これにより、多様な魚種が遡上・降下していることと、遡上と降下の時期や個体数が種ごとに異なることが明らかになった。これは、各魚種の生態特性に起因すると考えられるため、より詳細な調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生態水理解析のプロトタイプを構築し、植生の影響を後処理的に考慮する方法を検討した。これらは、今後の実用的な生態水理シミュレータの構築に大きく資する成果であり、順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、開水路非定常流解析へのモデルの拡張と、府中用水における水理解析基盤の構築を中心に取り組む。また、超音波多層流向流速計による詳細な河床地形データに基づく生態水理環境評価にも取り組み、スケールの異なる環境に対する評価手法の確立を目指す。
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