研究課題/領域番号 |
17H03894
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 浩 京都大学, 農学研究科, 教授 (50206207)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 植物工場 / 超音波放射圧 / 自動化 / 画像処理 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
2018年度は、3Dカメラ(Intel RealSense F200)で取得したイチゴの画像(カラー画像と距離画像)のうち、カラー画像を使用してイチゴの花の認識を行った。具体的には、モデル作成に用いた画像データは愛媛県のイチゴ農場で撮影された188枚のイチゴ画像に画像処理を施して3384枚にしたものを使用した。そのうちの338枚を検証データ、残りの3046枚を学習データとした。次にアノテーションとして画像中の物体名と物体を囲む矩形の情報を記録していった。次にモデルの損失関数の値が減少しなくなるまで学習を行った。損失関数とは検出モデルの予測領域と正解領域のズレおよび分類のズレを数値化する関数で、学習が進む度に値が更新されていく。パラメータ選択にはIoU、mAPという精度指標を使用した。IoUとは予測領域と正解領域の重なり具合を示す指標で、mAPとは検出した物体が正しいかどうかを示す指標である。過学習が起こる直前の最も汎用性の高いパラメータセットの確認を試みたが、学習データと検証データの類似度が高く確認できなかった。パラメータの更新回数は十分であったので最も高精度のものを選択した。2つのモデルに対して検証データを入力しIoU、mAP、処理時間の比較を行った。精度は両モデルとも良い結果を示したが、処理時間に関してはv2が2倍ほど速く処理を完了した。想定する環境では動画を処理することとなり処理速度が重要であると考えた。以上よりYOLOv2を制御プログラムに実装することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、2018年度は3Dカメラによる花の三次元座標計測システムの開発を挙げており、機械学習でカラー画像による花の認識ができれば、その重心位置の奥行き座標を求めることで、3次元座標を計算できる。また、2018年度には一般的な画像処理手法を用いて、花の三次元座標を求めるアルゴリズムを開発したが、実際に受粉作業を行なう温室や植物工場の光環境によって、画像処理に用いるしきい値が異なるため、現場でしきい値の再設定が必要となるなど、作業が煩雑になったため、2018年度に改めて機械学習による認識アルゴリズムの開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、開発したシステムを営業運転している植物工場に持ち込み、様々な周波数の放射圧をイチゴの花に照射し、振動する様子をハイスピードカメラで撮影し、その画像から振幅を測定するなど、花の振動と超音波の変調周波数の関係を定量化する。また、2018年度に基礎データを取得したイチゴ花粉の可視化に関して、認識アルゴリズムを開発し、装置に実装する予定である。
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