研究課題
水や養分の輸送を担うアクアポリンの蒸散要求量に対する応答が、栽培方法(水耕/土耕)や品種(ジャポニカ/インディカ)、生育ステージ、発現部位(根/葉)の違いに関われず普遍的に観察され、分子種による応答性の違いも類似していた。OsPIPを中心とした大部分のアクアポリンは蒸散要求量と正の相関を示すが、いずれの状況においても負の相関を示すOsPIP2;6などの分子種もある。トランスクリプトーム(全遺伝子発現量)の短時間(4時間)の微気象環境変化に対する応答性を調べた結果、発現量100rpm以上の遺伝子においては、根では全体の約7%、葉では50%以上もの遺伝子の発現量が、蒸散量と統計的に有意な正または負の相関を持っていた。FACE実験によって得られた形質の異なる2品種(ジャポニカ品種コシヒカリとインディカ品種タカナリ)の光合成特性の比較によると、タカナリの方がコシヒカリと比べて光合成能力が高く、その理由として、生育前半は気孔コンダクタンスが高いこと、生育後半は葉内コンダクタンスが高いことが寄与していることがわかった。アクアポリンなどの遺伝子発現量の微気象環境に対する応答性が両品種で異なることことが昨年度までの解析で得られており、それらの応答性の相違が気孔コンダクタンスと葉内コンダクタンスに影響を及ぼしている可能性が示唆された。日本晴(ジャポニカ品種)と北陸193号(インディカ品種)の土壌水分(中干し処理)と土壌還元(セルロース処理)への応答を調べた。両者の処理で共通に応答する遺伝子と異なる応答の遺伝子があり、共通に応答する遺伝子群の中に酸化還元反応に関わる酸化還元酵素関連遺伝子が確認された。土壌水分の低下によって2品種とも硝酸還元酵素や硝酸輸送体遺伝子の増加がみられ、土壌の酸化にともなうアンモニアの硝化に対応して硝酸吸収が促進されている可能性が示された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Plant Production Science
巻: 22 ページ: 395-406
DOI:10.1080/1343943X.2019.1626253