研究課題
これまでの実績報告書に概説する通り、出生後の筋成長期にあたる1週齢および3週齢でそれぞれ衛星細胞特異的にSema3A-cKOすると、後肢下腿部のヒラメ筋(遅筋型筋線維が優勢な筋)およびヒフク筋の遅筋型筋線維が有意に減少することを見出した。いずれの場合も、Sema3A依存的なシグナリング軸を構成する転写制御因子 (myogenin, MEF2D)、遅筋型myosin重鎖、おょび遅筋型筋線維関連因子(myoglobin, porin)の発現も有意に減少したことから、分化初期の衛星細胞合成・分泌因子Sema3Aによって新生筋線維は遅筋型に誘導されることが明らかになった。最終年度では、上記のSema3A依存的シグナリング軸の食品機能学的作動性を検証するため、新たに作出した「衛星細胞の高純度初代培養系」を用いて、Sema3A細胞膜受容体(neuropilin2-plexinA3複合体)のアゴニスト活性を有すると考えられる単一食品成分(クロロゲン酸)とは別の単一成分を検索した。野生型マウスから単離・培養した衛星細胞を増殖・分化させ筋管(幼若な新生筋線維)形成する時期に当該単一成分(名称の明記を差し控える)を種々の濃度で添加したところ、濃度依存的に遅筋型myosin重鎖、myogenin、 MEF2DのmRNA発現が有意に増加した。この結果はSema3A-cKOマウスから調製した筋管でも同様に観察され、対照区(Sema3A-cKO処理なし)とほぼ同レベルあるいはそれ以上のレベルまで各因子の発現が回復した。従って、当該単一成分がSema3A細胞膜受容体のアゴニスト活性を有すると考えられた。当該単一成分のin vivo活性を調べるため、1週齢のSema3A-cKOマウスに対して給餌実験を行なうことを計画したが、離乳期前に摂餌することが困難であることがわかったため、今後の継続課題とした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
European Journal of Nutrition
巻: - ページ: -
10.1007/s00394-020-02205-4
Metabolites
巻: 10 ページ: 10~10
10.3390/metabo10010010
Animal Science Journal
巻: 90 ページ: 781~789
10.1111/asj.13199
巻: 90 ページ: 604~609
10.1111/asj.13185
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K000315/research.html