研究課題/領域番号 |
17H03909
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
井上 亮 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (70443926)
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研究分担者 |
尾関 基行 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (10402744)
川崎 淨教 香川大学, 農学部, 助教 (30739206)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ブタ / 初乳 / エキソソーム |
研究実績の概要 |
本年度はブタ母乳中のエキソソームのプロテオーム解析を行った。母豚2頭から初乳(分娩時)と常乳(分娩後21日)を採取し、それぞれからエキソソームを単離後、LC-MS/MSによるプロテオームを行った。その結果、初乳からは177種、常乳からは142種のタンパク質が同定された。これらのうち、127種は初乳、常乳で共通して検出された。初乳のみで検出、または初乳で常乳よりも顕著に多く検出されたタンパク質にはAcute phase proteins(APPs)に分類されるものが多く、これらは自然免疫系の液性因子であり、病原体の直接的な排除に寄与する。またレクチンであるフィコリン2も初乳でのみ検出されており、これも自然免疫系の液性因子である。これらの結果から、初乳中のエキソソームには自然免疫系の液性因子が多く含まれることが示唆された。初乳中エキソソームは初乳の大きな役割の一つである、仔豚の初期感染防御において、重要な要素であると考えられる。 また、本年度は初乳からの細胞移行を検証するための予備試験として、SLA遺伝子を対象とした次世代シーケンス解析を実施した。母豚及び種ブタの毛根、及び初乳、仔豚の毛根から抽出したRNAをSLA特異的プライマーセットで増幅し、次世代シーケンサーMiSeqによるアンプリコンシーケンスを行ったところ、母豚の毛根、初乳からは同じ2つのSLA型が、種ブタからは母豚とは異なる2つのSLA型が検出され、仔豚は母豚、種ブタのいずれかのSLA型を一つずつ継承していることがわかった。これは遺伝学的なセオリーに反しないため、次世代シーケンサーを用いた母子、父子判別の分析技術が構築できたといえる。来年度は、この技術をつかい、仔豚内に存在する初乳由来SLA遺伝子の検出を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
母豚の不調などで、種付けがうまくいかず、予定していた分娩回数が得られなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れてはいるが、予定していた研究項目の多くは実現できている。このまま予定どおり研究を進める。
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