研究課題
マレック病ウイルス(MDV)は、鶏に悪性リンパ腫を主徴とするマレック病(MD)を引き起こし、養鶏業に大きな被害をもたらしてきたが、現在では生ワクチンの開発・実用化により効果的に予防されている。しかし野外においては、MDVの病原性が増強する傾向にあり、ワクチン接種鶏でMDが発生するワクチンブレークが問題となっている。しかしMDVの野外における病原性進化の分子機構については未だ不明のままである。これまでの我々の研究で、国内のワクチンブレーク鶏から分離されたMDVでは、全ゲノム解析により、米国で報告されているmeq遺伝子の多型も存在するが、従来報告されていない多型や他のウイルス遺伝子の異常も検出されている。そこで本研究では、近年日本国内の養鶏等から検出される MDVの分子生物学的性状を従来の分離株と比較して、これまで報告されていない新規の病原性 進化機構を明らかにすることとした。前年度までの解析で、近年、国内で分離されたMDV株が米国の強毒株686株とは異なる性状や病原性を示すこと、また、アジア諸国に分布するMDVの疫学調査・性状を解析を行う目的でミャンマーでの分子疫学調査を実施したが、現時点で強毒株と思われるウイルス株は分布していないことが示された。本年は、近年、国内で検出されたmeq遺伝子の多型のひとつであるS-meqについて、その病原性への影響をMDV感染性クローンを作成して検討した。MDV強毒株RB-1B感染性クローンのmeq遺伝子をS-meqやL-meqに置換した組換えクローンを作成し、ニワトリを用いた感染実験により、種々の臓器におけるウイルスの増殖性などを検討した。その結果、S-meqをもつクローンはL-meqのものに比べて、脾臓などでの増殖性が低いことが判明した。さらに病原性などを詳細に検討することが必要であると思われる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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BMC Veterinary Research
巻: 15 ページ: 261
10.1186/s12917-019-2018-2
Heliyon
巻: 5 ページ: e01544
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