研究課題/領域番号 |
17H03917
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
笹井 和美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70211935)
|
研究分担者 |
谷 浩行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00305658)
松林 誠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00321076)
古家 優 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30500706)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 原虫 / Apicomplexa門 / 鶏型モノクローナル抗体 / マラリア |
研究実績の概要 |
Apicomplexa門(AP)には、ヒトや家畜に致死性の貧血や下痢症を引き起こす等、世界的に重要な原虫が数多く含まれる。これらの原虫に対して、今なお、治療・予防方法が確立しておらず、社会経済・畜産生産現場に多大な被害をもたらしている。同門の原虫の先端部分にはApical complex(AC)と呼ばれる共通に局在する複合体が存在する。本研究では、このACを特異的に認識するモノクローナル抗体を非哺乳動物つまり鶏を用いて作製し、原虫の侵入に関わる新規分子の探索および機能解析を行う。本年度は、まずは鶏に寄生するアイメリア原虫の中でも最も病原性の高い、Eimeria tenella について、交差反応性を解析した。方法は、幼雛に本原虫株を投与し、糞便中に排泄されるオーシストから、生鮮な胞子形成オーシストを得た。塗抹標本を作製し免疫染色を行った結果、侵入型虫体、スポロゾイトの先端に陽性反応が確認された。E. tenella の可溶化タンパク質を用いた2次元電気泳動によるウエスタンブロッティングにより、認識される抗原タンパク質を同定できた。陽性スポットのLC-MS/MS 解析の結果、これまでに他種原虫において同定されているタンパク質と同様のアノテーションのタンパク質であることが分かった。一方で、世界的に最も重要とされるマラリア原虫との交差反応性を確認するため、まずはマウス寄生性マラリア原虫であるP. vinckei およびP. yoelii の系を立ち上げた。感染血液を用いて免疫染色を行った結果、侵入ステージおよび発育期により反応性が異なることが分かった。以上の結果より、本抗体が認識する抗原は、幅広くAP原虫に存在する共通タンパク質を認識する事が分かった。また、マウスのマラリア感染モデルは、今後、抗体治療解析において有用である可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画通り、順調に計画は進展しており、国際的な雑誌に3報の論文を発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
本鶏型抗体が認識する抗原をP. vinckei およびP. yoelii において同定を試みる。またヒトに重篤な貧血症状を起こすP. falciparum のin vitro 培養系を構築し、これらとの交差反応性およびapical complex 抗原の同定を試み、抗体による侵入抑制効果を解析する。
|