研究課題
本研究計画は、「脂肪組織由来サイトカイン(アディポサイトカイン)による肥満関連の心血管疾患発症・予防メカニズムの全体像を解明する為に、その心臓、脳、腎臓に及ぼす影響及び血管を含む多臓器連関を介した病態制御機構をin vitro細胞レベルで解析するとともにin vivo病態モデル動物を用いて検証する」ことを主たる目的とした。本年度は、特に以下の成果を得た:1)アディポサイトカインvaspin投与がin vivoにおいて肺高血圧症モデル動物の病態進展を抑制することを明らかにした。また、in vitro培養細胞を用いた解析により、このメカニズムがvaspinの抗酸化作用によるマトリックスメタロプロテアーゼ活性化を介した肺動脈壁の線維化阻害であることを見出した、2)アディポサイトカイomentinの自然発症高血圧モデル動物に対するin vivo長期間投与は、心血管において抗酸化作用や細胞内シグナル活性化及び線維化の抑制を介して高血圧症や心臓合併症の病態に少なくとも何らかの影響(抑制的に作用する)を及ぼす可能性が示唆された、3)アディポサイトカインchemerinがin vitroにおいて心臓線維芽細胞の遊走能を亢進することを明らかにした。またこのメカニズムに少なくとも一部は活性酸素種産生及びそれに関連した細胞内シグナルの活性化が関与することが示唆された。4)ラットにおける長期間側脳室内投与の実験系及びデータ解析系のセットアップを行った。これらの成果を学術集会・研究会で口頭発表するとともに一部を学術論文として公表した。
2: おおむね順調に進展している
いくつかの研究成果を公表する事ができた為。
引き続き精力的に研究を推進し成果を積極的に公表することを目指す。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Pflugers Arch-Eur J Physiol
巻: 469 ページ: 1425~1432
10.1007/s00424-017-2043-6
http://www2.vmas.kitasato-u.ac.jp/pharmacology/