内臓脂肪の蓄積を特徴とする肥満症は、心血管疾患の主要なリスク因子である。蓄積内臓脂肪と心血管疾患リスク上昇の因果関係を説明する新たな液性因子として脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインが重要である。本研究は、血管を含む多臓器(心臓、脳、腎臓)に着目してアディポサイトカインによる肥満関連の心血管疾患の病態制御機構を検討することを主たる目的とした。結果、アディポサイトカインのケメリンが肺高血圧症(右心肥大を合併する)の病態に促進的に働くことを示唆する結果を得ると共に、中枢神経に作用して交感神経を活性化し全身血圧を制御すること、更に心収縮力と心拍動数に影響を及ぼすことを初めて明らかにした。
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