トイプードルの家族性成犬発症型運動失調症については、特定のゲノム領域に1遺伝子全域を包含する広域(約50 kb)の欠失を見出していたが、これを同家系内外の個体の遺伝子型検査によって、遺伝子型-表現型が一致することを確認し、論文を作成している段階である。 これまでに、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析を実施した犬の遺伝子疾患の内、カロリ病の犬家系において、PKHD1遺伝子のスプライシング領域における一塩基置換を同定し、RT-PCRにて近傍エクソンのスキップを確認することができた。この成果について現在論文を作成中である。また、糖蛋白代謝異常症と考えられていた犬はβ-マンノシドーシスと判明し、MAN2B1遺伝子において一塩基置換の変異を同定し、現在、同犬種手段を解析してその変異アレル頻度を調査している。変異アレル頻度調査と同時に論文を作成中である。 臨床的にムコ多糖症と診断されていた犬の解析では、IDS遺伝子の一部エクソンに重複が存在しており、このことがムコ多糖症の発症に関与していると考えられたためその重複配列が挿入されているゲノム上の位置を調査している。また、猫のポンペ病と考えられる症例では、GAA遺伝子変異を見出し、その変異アレル頻度を雑種猫集団で調査している。さらに、ニーマンピック病と考えられている症例では、NPC2遺伝子に候補変異となる異常配列を認めており、集団調査ではその変異を有する猫が見出されていないため、その異常配列が同疾患の原因であると推定された。
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