研究課題
動物(マウス)を使用して筋組織再生過程での筋組織の変化とCS合成および分解酵素の変動を解析した。マウスの後肢の筋(前脛骨筋)に50%グリセロール溶液を注入し、系時的に同筋を採取し組織学的解析、分子学的解析を行った。損傷後、比較的早い時期(損傷3日目)では筋線維の損壊が認められ、筋線維間に炎症性細胞を多数観察したが、損傷28日目には筋線維の大きさ葉、グリセロール処置しなかった対照筋と同レベルまで回復した。この間のCSの合成に関連する酵素(Xylt1、Chst3、Chst12など)の発現量を解析したところ、損傷3日目で高値を示した。興味深いことに、CS分解酵素(HYAL)の発現も損傷3日目にピークを示し、その後急激に減少した。CSは筋芽細胞の分化に抑制的に働く。CS合成およびCS分解酵素が損傷直後に同調するように高発現を示したことは、分解酵素が組織中のCSを除去し、筋芽細胞の分化を促進させるためかもしれない。一方、卵巣を除去し(OVX)低エストロゲン(E2)状態にしたマウスの前脛骨筋を、カルディオトキシンで損傷させ、その回復過程も解析した。OVX処理をしたマウスの損傷筋では、多くの炎症性細胞が組織中に侵入し筋組織の回復は遅延した。しかし、OVXマウスにE2を投与すると、損傷筋組織の回復は促進した。また、損傷筋組織の回復にともない、エストロゲン受容体βの産生量も変動した。この変化は検索したCS糖鎖合成酵素との発現と呼応しているようであったが、CSとエストロゲンの関連については更なる検討を要する。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://staff.muses.tottori-u.ac.jp/y-hosa/