研究課題/領域番号 |
17H03937
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
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研究分担者 |
福田 智一 岩手大学, 理工学部, 教授 (40321640)
片山 泰章 岩手大学, 農学部, 准教授 (70436054)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コレステロール / ネコ / 代謝 / フェリニン / 高脂肪食 |
研究実績の概要 |
これまでに我々は、ネコがなぜ高コレステロール血症になりにくいか原因を調べ、新たにコレステロール生合成を抑制する代謝経路(フェリニン経路)がネコで亢進していることを発見した。フェリニン経路では、メバロン酸経路の最終産物の一つであるジメチルアリル二リン酸(DMAPP)が脱リン酸化を受け、酸化した後グルタチオンに抱合され、分解を経て最終的にフェリニンというアミノ酸として尿に排泄される。これはネコの肝臓にて、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(IDI)というイソペンテニル二リン酸をDMAPPに異性化する酵素がメバロン酸経路の他の酵素と比較して非常に高発現していることが原因であると示唆された。また、ヒトやマウス、イヌなどの尿でも、尿中にフェリニン経路の代謝産物がわずかに検出されたので、ネコ以外の動物でもフェリニン経路は機能していることが分かった。以上の知見を踏まえ、本研究ではネコ以外の動物でもIDIを高発現させることでフェリニン経路は亢進するか検証した。アルブミンプロモーターの下流にIDIを組み込んだ発現ベクターを構築し、TransIT-EE Hydrodynamic Delivery Solution(Mirus社)と混ぜ、5週齢のBALB/cマウスに尾静脈投与した。1週間後に免疫染色で肝臓におけるIDIの高発現を確認した後、投与前後1週間の尿中フェリニン代謝物排泄量をLC-MS/MSで定量した。その結果、特にIDIの発現量が高かったマウスにおいて尿中フェリニン代謝物の排泄量が投与後3日後から増加することが分かった。よってネコ以外の動物においてもIDIの発現量が増加すればコレステロール中間産物がフェリニン経路で代謝されることが示唆された。現在は、フェリニン経路が亢進したネコ型マウスでコレステロール動態を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トランスジェニックマウスを作成し、順調に表現型を解析できている。また関連する論文も投稿できた(査読中)。
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今後の研究の推進方策 |
IDIを高発現するトランスジェニックマウスの表現型を解析する。
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