研究課題/領域番号 |
17H03941
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩見 邦博 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (70324241)
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研究分担者 |
溝口 明 愛知学院大学, 教養部, 教授 (60183109)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カイコ (Bombyx mori) / 休眠 / 脳可塑性 / 季節適応 |
研究実績の概要 |
カイコの胚休眠誘導において、母蛾の環境温度の受容から次世代卵の休眠性の決定に至る過程には、休眠ホルモンの放出制御の過程で脳可塑性がみられる。そして、その脳可塑性には、これまでに知られていない「単純で効率的」な新奇のメカニズムが潜んでいる可能性がある。このメカニズムを立証するため、次の3つのサブテーマ [A] ~ [C] の解析を行なった。[A] GABA トランスポーター (GAT) の休眠誘導との関連と可塑的遺伝子発現の調節機構の調査、[B] DH 分泌制御に関わる神経回路網の同定と拡散性伝達の検証、[C] インシュリンシグナル経路と脳可塑性の関連性の調査。その結果、[A] においては、母蛾の胚子発育期から蛹期までの GAT 遺伝子の発現を休眠タイプで比較するとともに、BmTRPA1 のノックアウト (KO) 系統を用い、蛹期での発現を調査し、休眠タイプの違いにおける GAT の遺伝子発現量の差異は、BmTRPA1 シグナルの下位で母蛾の蛹期に起こり、母蛾の胚期から5齢幼虫 3 日までは認められないことが分かった。また、RNAscope により蛹の脳における GAT 発現細胞を同定した。そして、GAT の KO 系統の休眠性を調査した。[B] では、遺伝子組み換えカイコを利用した神経ネットワーク解析を行なうためのベクターを種々作製した。[C] では、インシュリン様ペプチド遺伝子の発現調節機構を解析するために AcNPV 遺伝子導入法を利用したレポーター遺伝子解析を行なった。また、インシュリン様ペプチド遺伝子を過剰発現する遺伝子組み換えカイコを作出するためのベクターを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書の研究計画・方法の通りにおおむね進んだ。特に、 GABA トランスポーターと休眠誘導との関係において、今後の研究の進展を見込める結果を得た。しかしながら、サブテーマ [B] および [C] に関する遺伝子組み換えカイコの作出が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書の研究計画・方法の通りに進める。特に、サブテーマ [B] および [C] に関する遺伝子組み換えカイコの作出と神経ネットワーク解析を精力的に進める。
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