研究課題
超低投入持続型水田において、緑肥(シロクローバー)のみを15年以上、継続している水田において、栽培実験を継続して行い、水稲の生育調査、土壌中の養分動態調査、土壌酵素活性、土壌微生物コミュニティ解析を行った。緑肥施用区(Org区)と緩効性肥料を施用した慣行栽培区(Conv区)を設け、C獲得酵素活性としてβ-グルコシダーゼ活性、P獲得酵素活性として酸性フォスファターゼ活性、N獲得酵素活性としてプロテアーゼ活性を測定した。酵素活性比を用いたベクトル解析により土壌微生物の栄養状態の判定を行ったところ、Org区では、栽培初期のP不足からNとP不足へと推移する結果が確認された。ベクトル長の比較により、Conv区はOrg区よりも有意にCが不足している時期が多かった。β-グルコシダーゼ活性に対する酸性フォスファターゼ活性,プロテアーゼ活性の比は、イネの窒素吸収インデックスと正の相関を示し、土壌中のNとPの利用性が高いとイネの生育が向上し、土壌活性比を用いてイネの養分状態を表せる可能性が高いと考えられた。根圏土壌における窒素固定・脱窒活性は、移植後週数が重なるにつれて増加し、イネの生育と共に根圏土壌の微生物活性は増加することを確認した。また、窒素源が根圏土壌に多く存在すると窒素固定活性が減少することも明らかした。重回帰分析により、Org区の窒素固定活性は、有機態Nに強い負の影響を受け、Conv区では無機態Nに強い負の影響を受けることを明らかにした。緑肥施用により、根圏土壌の微生物群集構造に大きな違いは見られなかったが、Methylomonas属細菌は増加した。緑肥という形で複雑な有機物を大量に投入することで、プロテオバクテリア門の細菌の中で有機物資化細菌が多く増殖したと考えられた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Agriculture
巻: 11 ページ: 661~661
10.3390/agriculture11070661
http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~seisan/soil/kakenhi.html