研究課題/領域番号 |
17H03953
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
野村 哲郎 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (50189437)
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研究分担者 |
谷口 幸雄 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10252496)
高橋 純一 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (40530027)
熊野 了州 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90621053)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルハナバチ / 授粉系統 / 北海道 / 系統造成 / 選抜育種 |
研究実績の概要 |
繰越した研究費によって実施する予定であった北海道帯広市および音更町での令和2年度および3年度の授粉試験は、いずれも新型コロナウィルスの感染拡大のために実施を取りやめた。また、同期間の行う予定であった室内飼育での交尾率および生殖虫(次世代の女王バチと雄バチ)の効率的生産法の確立についても、北海道での材料採集が行えなかったので中断せざるを得なくなった。この間、当初に予定していた課題のうち研究室内で可能なものを優先して行い、以下の成果を得て一部を国内外の雑誌に論文として発表した。 (1)ハチ類の育種に関する最新の研究のレビュー:本課題で取り上げている選抜方法(BLUP法)を含む最近の研究動向をまとめ、国内の雑誌に発表した。 (2)北海道における希少マルハナバチの保全:北海道の東部に限定的に生息する希少マルハナバチ(ノサップマルハナバチ)の生息地における巣の数を推定するための方法を開発するとともに、実際のマイクロサテライトデータを用いて巣の数を推定した。この成果は、海外の専門誌に発表した。 (3)マルハナバチの高授粉能力系統を作出するための選抜方法の開発:BLUP法を用いて実験室内で高授粉能力系統を作出するための方法をコンピュータシミュレーションによって検討した。 (4)エゾオオマルハナバチのトマトの授粉効率に関する実験:H31年度にに帯広市で研究分担者(熊野了州氏)と行った受粉試験の結果を定量的に解析し、セイヨウオオマルハナバチとの間で授粉能力に差がないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
選抜育種による授粉系統の造成については、プログラムの開発と選抜手法の理論的評価およびシミュレーション実験による評価については順調に進んでいるが、2年間にわたって材料採集が行えなかったために実際に系統造成については、進捗が遅れている。北海道産マルハナバチ(エゾオオマルハナバチ)の授粉能力の評価については、H31年度に帯広市で実施した外来マルハナバチ(セイヨウオオマルハナバチ)との比較試験によって、両者の間に授粉能力について大きな差がないことが示された。R1以降の試験は中断しているが、授粉能力の評価については一定の成果は得られている。
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今後の研究の推進方策 |
授粉系統の作出については、研究期間内に継代維持できる規模の系統を造成することは困難であると考えている。一方、これまでの飼育試験の結果から、系統造成の際に最も重要な課題となる交尾率の向上、生殖虫の生産効率の向上についてはその対処法について検討できる材料がそろっているので、追加の試験を実施することに注力し、対処方法の確立を目指す。また、選抜方法についてはシミュレーション実験の結果が出ているので、早急にまとめて専門誌に投稿する予定である。授粉試験については、令和4年度に条件が整えば帯広市および音更町で追加の試験を行う予定である。この試験が実施できなくても、平成31年度までに行った試験結果をまとめて専門誌に報告できる成果は得られているので、とりまとめを行う予定である。
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