研究課題/領域番号 |
17H03956
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
星野 辰彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 主任研究員 (30386619)
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研究分担者 |
浦本 豪一郎 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任助教 (70612901)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海底下生命圏 / IODP / 生物多様性 / メタゲノム解析 / 海底下堆積物 |
研究実績の概要 |
平成30年度においては、平成29年度の結果を踏まえ海底下堆積物に生息する微生物叢の多様性とそれを支配する環境因子についての理解を深めるべく解析を行った。世界各地40の海底掘削サイトから得られた300の海底下微生物群集の多様性と環境因子との相関分析を行ったところ、溶存酸素の有無や有機物濃度、硫酸イオン濃度等が、微生物群集構造をコントロールしていることが明らかとなった。また、海水中や土壌表層といった地球表層のエネルギーに満ちた環境における微生物多様性と比較したところ、地球全体における微生物の多様性は、エネルギーに乏しい海底下環境においても表層環境に匹敵することがわかった。深部方向における微生物多様性の減少は、嫌気環境において好気環境よりも大きく、酸化還元電位が大きく変化する嫌気堆積物において選択圧が大きいことが示唆された。 また、平成29年度の結果から堆積物が成層しており浅部から深部にわたって微生物叢が安定しているサイトとして下北半島沖のサイトを選定した。微生物叢解析では16S rRNA遺伝子アンプリコンシーケンスを行ったが、メタゲノム解析を行うためにはより大量かつ高度に精製されたDNAが必要である。そこで平成30年度は、大量のサンプルからDNAを抽出、高度に生成し、ライブラリを作成する一連のプロトコールを開発した。開発したプロトコールを用いて前述の下北半島沖堆積物深度200mまでのサンプルについてのシーケンスデータを得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初懸念していた、海底下深部の低バイオマスサンプルからのライブラリ作成について、DNA抽出・精製方法を工夫することにより、滞りなく行うことができており、メタゲノム解析の結果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、まず下北半島沖のさらに深く低バイオマスである海底下320mまでの堆積物試料からのメタゲノム解析を行っていく。シーケンスのデータが出揃い次第、バイオインフォマティクスに着手し、深度方向においてどのような遺伝子群が欠落もしくは獲得されているのかを明らかにし、海底下の極低エネルギー環境における微生物の進化動態を解明する。
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