研究課題
令和元年度においては、これまでに世界各地の堆積物から得られた16S rRNA遺伝子配列データを元に得られた微生物種の構成データ、さらに、本研究と同じ領域の16S rRNA遺伝子配列が用いられている既報論文から海洋と表層土壌中の遺伝子データをコンパイルし、海底下堆積物との比較に用いた。Amplicon Sequence Variants(ASVs)構成を比較した結果、海底下堆積物、海洋、表層土壌で優占化する微生物群が門レベルで大きく異なっていることがわかった。バクテリアにおいては、Atribacteria門、Chloroflexi門、アーキアではCrenarchaeota門、Asgardaeota門が堆積物に特徴的に多く検出された。ASVsの共起ネットワーク解析では、好気性微生物群と嫌気性微生物群のコミュニティーが別々に構成されていることが可視化され、好気的なコミュニティーではThaumarchaeota門に属するアンモニア酸化古細菌と嫌気性細菌との共存が確認され、堆積物の生態学的ニッチに微生物が住み分けて共存していることが推察された。一方、嫌気的なコミュニティーではAtribacteriaやChloroflexi、Planctomyces門に属する細菌がネットワークにおいて重要な役割を果たしており、これらの細菌群がまず有機物を消費し、その代謝物を他の嫌気性細菌群が利用していることが伺えた。また、全多様性を推定するため、5種類の面積種数曲線モデルを我々のデータにフィッティングしたところ、Asymptoticモデルが採用された。Asymptoticモデルを用いて地球の全堆積物中の微生物多様性を推算したところ、予想に反して海洋や表層土壌生命圏に匹敵することがわかった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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