研究課題/領域番号 |
17H03958
|
研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
山田 晋 東京農業大学, 農学部, 准教授 (30450282)
|
研究分担者 |
横田 樹広 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (00416827)
三浦 直子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30647491)
小柳 知代 東京学芸大学, 環境教育研究センター, 准教授 (80634261)
山本 嘉昭 公益財団法人河川財団(河川総合研究所), 河川総合研究所, 河川総合研究所上席研究員 (70645150)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 土壌剪断力 / 植物種多様性 / 地上部生産量 |
研究実績の概要 |
春季の堤防では,ネズミムギが優占する箇所が広範囲に分布し,チガヤやアズマネザサが優占する箇所も散在した。一方,同所は,夏季にはつる植物,セイバンモロコシ,夏型一年草,セイタカアワダチソウ,チガヤ,アズマネザサが優占する植生が存在していた。春季と夏季の植生の対応状況を整理したところ,春型のネズミムギ優占タイプは,夏型の複数の植生タイプ,すなわち,つる植物優占タイプ,セイバンモロコシ優占タイプ,夏型一年草優占タイプに主として対応していた。一方,春季のアズマネザサ優占タイプは夏季にもアズマネザサが優占した。夏季にチガヤとセイタカアワダチソウがそれぞれ優占した箇所は,春季にはネズミムギ優占タイプであることもそうでないこともあった。夏季にチガヤが優占し春季にネズミムギが優占しない場合,およびアズマネザサが優占する場合には,在来種の種多様性が明らかに高かった。 春季と秋季の優占種による植生区分を行い,チガヤ/ネズミムギ優占,チガヤ/ネズミムギ非優占,セイタカアワダチソウ/ネズミムギ優占,セイタカアワダチソウ/ネズミムギ非優占,つる/ネズミムギ優占,セイバンモロコシ/ネズミムギ優占,夏一年草/ネズミムギ優占,アズマネザサ/ネズミムギ非優占という優占種の組み合わせが,河川堤防には存在した。 各植生区分は,治水機能および生物多様性の尺度から,有する機能の高さが異なると考えられる。たとえば,一年草のネズミムギや夏季一年草は,地下部を含む植物体が毎年枯死し,堤防表土の強度を低下させるため,管理上の機能が低い。また,高茎のセイタカアワダチソウやセイバンモロコシは,中茎のチガヤと比較して,植物体の重量が大きく,除草後の残渣処理費が高くなる。今回区分できた植生区分ごとに,以上のような指標を具体的に算出することは,今後の堤防管理上有効と考えられる。 今後,この結果を学会や論文として公表していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異常気象により繰り越しを行ったが,繰り越し後は予定通りの調査を実施することができた。研究成果の公表には,データ取得後,時間を要するため,現段階で当該小課題に関する成果の公表がないことは,当初予定通りである。今後,成果の公表を順次実施する。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題は2019年度にて終了した。
|