研究課題
基盤研究(B)
植物感染性線虫の農業被害は、年間数十兆円と試算されている。本研究では、植物感染性線虫の感染機構について研究を行った。まず、線虫誘引物質の同定を行った。NMRにより、多糖類に線虫誘引活性が有ることを見いだした。その他の研究から、それが細胞壁の成分であるRG-Iであり、その構造について、詳細な情報を得ることが出来た。また、線虫感染に関わる植物側遺伝子の分子機構の解明も進め、線虫のエフェクター蛋白質の植物内のターゲット蛋白質を同定し、その突然変異体の線虫感染効率が変化することも見いだした。
高等動植物間相互作用
本研究により、線虫の植物誘引物質が同定出来た。また、植物への感染過程における分子機構の一端も明らかになった。これらの情報は、学術的には、植物-動物相互作用の分子機構が明らかになっただけでなく、どのようにパラサイトーホストの関係が進化してきたかを紐解く鍵になると考えられる。また、これらの情報は、線虫のトラップ剤の開発や、線虫に抵抗性を持つ作物品種の開発にも繋がると考えられ、基礎研究だけでなく、応用研究分野にも、今後、広く、利用されると考えられる。