研究実績の概要 |
1)コプシアアルカロイド合成に関する研究;スピロ中間体の汎用性の高い合成法の効率化を目指し検討を行った。又、ランドリン類を基本骨格とする新たなプローブ合成を視野に入れて基本骨格のハロゲン化を検討した。オタワ大学化学科John Pezacki教授を訪問しラセミ体ランドリンの生物活性発現機構の解明に向けた調査研究を開始し、ランドリンが細胞のDNA発言に影響することを見いだした。 2)ヒドロカルバゾール系天然物の不斉合成研究を継続し、天然物である(1R,2R,3R)-3-hydroxy-1,2-dimethyl-1,2,3,9-tetrahydro-4H-carbazol-4-oneを不斉合成し、天然物の絶対配置を決定した。本化合物は韓国およびタイの研究者により異なるリソースより同じ骨格を有するものの鏡像異性体(エナンチオマー)が単離されていた。また単離された化合物のスペクトルデータの一部に差違が見られ、比旋光度の絶対値も異なっていた。今回、我々が開発した不斉Diels-Alder反応を用いて光学活性ヒドロカルバゾール骨格を構築後、官能基変換を経て目的物の不斉全合成を達成した。また同様のDiels-Alder反応をもちいて抗菌作用および抗マラリア作用が報告されているカルバゾマイシンAおよびBの全合成を達成した。 3)我々が開発したシロキシジエンを用いる不斉Diels-Alder反応において従来用いてきた希土類金属錯体はX-線結晶解析が困難であった。今回新たに開発した光学活性希土類金属錯体は結晶性が高く錯体構造を解明できた。さらに本錯体が不斉Diels-Alder反応を触媒し高収率にて付加体を与えることが判明した。錯体構造が判明したことにより不斉誘導経路の解析が可能となった。
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