今後の研究の推進方策 |
2019年度は、様々なアミロイド線維との臓器や組織における共沈着が報告されてアポEタンパク質について、そのアミロイド沈着促進/抑制メカニズムの解明研究に着手する。具体的には、アミロイドタンパク質の線維形成過程や動的構造安定性、脂質や糖鎖との相互作用におけるアポEのcofactorとしての関与を明らかにする。この際、野生型であるアポE3とアルツハイマー病発症危険因子であるアポE4アイソフォームに関する申請者のこれまでの構造機能比較研究(JBC 278, 40723, 2003; Biochemistry 49, 10881, 2010; 53, 4025, 2014; BBA 1841, 1716, 2014)を基盤とした物理化学的解析を中心に進める。また、アミロイド線維形成・沈着におけるヘパラン硫酸などの硫酸化糖鎖の関与については、糖鎖結合領域を改変したアポE変異体を用いた物理化学的解析(JBC 278, 14782, 2003; 280, 5414, 2005; Biochemistry 47, 6702, 2008)や、糖鎖改変CHO細胞株を用いた細胞生物学的解析(JBC 290, 24210, 2015; Am. J. Pathol. 189, 308, 2019)が可能である。 また、アミロイド線維の形成制御・代謝回転促進技術の開発を目的として、ポリフェノール類であるEGCG誘導体やグリコシド、トリテルペノイド類などの天然由来化合物のin vitroスクリーニングからアミロイド線維形成阻害・脱会合作用を示す化合物を選定する。さらに、得られた候補化合物のアミロイド線維細胞毒性軽減効果をヒト培養細胞を用いて検証することで、アミロイド生成(アミロイドゲネシス)を標的とした新規治療薬候補化合物の探索を進める。
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