研究課題/領域番号 |
17H03980
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐々木 雄彦 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50333365)
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研究分担者 |
高須賀 俊輔 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (90375262)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リン脂質 / 病態モデル |
研究実績の概要 |
生体膜の主要な構成物質であるリン脂質は、多様な生理機能を有する。我々のグループでは、質量分析によるリン脂質の高感度解析技術を開発した。そして、ホスホイノシタイド群(PIPs)として約20年ぶりの発見となる新規PIPsを見出した。これらの中には、マウスがん組織で蓄積するなど、興味深い動態を示すものが含まれる。新規PIPsの代謝酵素ならびに標的タンパク質を同定し、生理機能を解明する独創的な学術研究を本基盤研究で一気に推進し、新しい研究分野の開拓につながる知見を世界に先駆けて得ることを目的としている。 原がん遺伝子産物PI3Kならびにがん抑制遺伝子産物PTENは新規PIPsの代謝に関与する。そこで、他のPIPs代謝酵素についても過剰発現、発現低下に伴う新規PIPs動態をLC/MS/MS法で解析した。その結果、PIPsホスファターゼの中に、新規PIPsの産生と分解に関与するいくつかの酵素を見出した。特に、MORM (mental retardation, truncal obesity, retinal dystrophy and micropenis) シンドローム、Joubertシンドロームの原因遺伝子とされ、また、我々が以前にマクロファージの貪食における機能を報告していたPharbinが強い活性を有することを見出した。この酵素は一次繊毛に局在することから、曲率が高い膜ドメインの形成に新規PIPsが関与する可能性が浮かび上がった。 動物個体レベルで新規PIPsが変動する局面の探索を行い、リポ多糖投与による炎症惹起によって、血中濃度が上昇することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規脂質の代謝に関わる酵素を同定し、生成と分解の過程が明らかになりつつある点は順調であるが、生理機能への実験的なアプローチが不足してしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進展に伴い、古くから知られているイノシトールリン脂質代謝系と新規脂質代謝系の連関が明らかになってきた。これにはホスホリパーゼ(PL)A1/A2が関与する。全てのPLAsを網羅して、関与するアイソザイムを明らかにすることで、全貌を解明する。
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