本研究では、最新の全脳イメージング法FASTを用いて、精神疾患モデル動物脳の神経活動を全脳細胞レベルで解析し、疾患病態と治療薬機序を解明する新たな薬理学的研究法の確立することを目的としている。本年度は、疾患病態の新たな解析手法を確立するため、様々な精神疾患モデルマウスを作成し、全脳から脳領域毎の構造および神経活動を標識・評価し、以下の結果を得た。 1)ヒト型発達障害モデルマウスの全脳活動マッピング等を実施し、特定の脳領域の活動異常を見出した。 2)神経活動レポーターマウスであるArc-dVenusマウスを用いて、社会性行動障害を示す発達障害モデルマウスを作成し、全脳活動マッピングを実施した。発達障害モデル脳ではdVenus陽性細胞が増加していたものの、複数個体から得られた活動マップをグラフ理論および機械学習により解析したところ、正常マウス脳と比較して機能的結合が低下していることを明らかにした。さらに、行動異常を改善する薬物を投与したところ、正常脳と同程度まで機能的結合性が回復することを見出した。
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