研究実績の概要 |
1つのメチル基を3員環側鎖β位に持つアミノ酸のジアステレオマー(1S,2R)-Ac3cMからなるホモペプチドの合成を行い、その2次構造解析を溶液状態とX線結晶解析による結晶状態にて行った。このホモペプチドは、溶液状態、結晶状態ともに左巻きの310-ヘリックス構造を形成しており、既に研究していた(1R,2R)-Ac3cMホモペプチドとほぼ同様の2次構造をとっていた。また、キラルなビス(メトキシメチル)基を持つ3員環アミノ酸をAibペプチドの中に導入し、その2次構造を調べた。さらに、分子内に鏡面を持つ2つのジアステレオマーの5員環アミノ酸を合成し、そのホモペプチドのヘリックス2次構造を解析した。 配座自由度制限ジ置換アミノ酸Aib、ジプロピルグリシン(Dpg)、5員環アミノ酸等を導入したドデカペプチドの2次構造と細胞膜透過性とsiRNAの輸送について調べ、Dpgを導入したヘリカルペプチドがsiRNAの導入に優れていた。また、環状ジ置換アミノ酸と架橋により配座固定したビタミンD受容体転写阻害ペプチドを合成し活性評価を行ったが、水溶性が悪く期待した阻害活性は見られなかった。 5員環状アミノ酸Ac5cを導入したヘリカルペプチドのN末端部分にチオウレア部分を導入したペプチドによるニトロアルケンとジアルキルマロネートの不斉1,4-付加反応では、ペプチド触媒0.5 mol %で高い鏡像体過剰率の付加体を与えることが分かった。X線結晶解析を利用した触媒構造解析、また、N-メチル化ペプチドによる不斉誘起の機構の解析を行った。さらに、ペプチドのN末端部分にホスフィン部分を導入したペプチド配位子を合成し、銅による触媒的アゾメチンイリドの不斉[3+2]付加環化反応を検討し、高い鏡像体過剰率の付加体を得ることができ、この方法により不斉四級炭素の構築も可能であった。
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