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2017 年度 実績報告書

ヒト肝キメラマウスの活用による複雑な薬物相互作用の定量的予測法の精緻化

研究課題

研究課題/領域番号 17H04006
研究機関東京大学

研究代表者

前田 和哉  東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (00345258)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードトランスポーター / ヒト肝キメラマウス / 肝胆系輸送 / 薬物動態の予測
研究実績の概要

ヒト肝臓キメラマウス、もしくはキメラマウス由来の単離肝細胞を用いることで、医薬品の肝胆系輸送の定量的評価や薬物相互作用のリスク評価がどの程度既存の系と比較して改善可能であるかについて総合的に検討することを目標として研究を進めている。本年度は、ヒトとげっ歯類の間で胆汁排泄に種差が存在することが既報の薬物を中心に、ヒト肝臓キメラマウスの一種であるHu-liver TK-NOGマウスを用いてin vivo胆汁排泄試験を実施した。その結果、対照マウス(TK-NOGマウス)における胆汁排泄クリアランスは、キメラマウスと比較して全体的に大きい傾向が見られ、既報の複数の薬物のヒト胆汁排泄クリアランスとの間の相関では、キメラマウスの方が対照マウスと比較して類似の値を示すことが分かった。但し、キメラマウスの胆汁排泄クリアランスは、全体的にはヒトでの報告値の1/2~1/3程度であり、過小評価していることが示唆された。一方、キメラマウス(PXBマウス)由来単離肝細胞(PXB-cells)の培養日数依存的な肝取り込み能力の変動について、ヒト凍結肝細胞と比較して調べたところ、複数の薬物の取込みクリアランスの間には良好な相関性が観察され、ヒト胆汁排泄クリアランスとの間にも良好な相関関係が認められた。一方、培養時間に依存してOATP1B1基質薬物は、2週間にわたってあまり取り込み活性は低下しないものの、OATP1B3基質は培養後数日後には著しく取り込み活性が低下する。一方、mRNAやタンパクレベルでの発現変動を調べたところ、特にmRNAにおいて培養直後からの顕著な発現低下が認められた。よって、長期培養後の薬物の取込みは、別のトランスポーターによって担われている可能性が考えられ、継続して検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点まで、in vivo, in vitro共に主に肝取り込み過程に着目して、ヒト凍結肝細胞等既存の実験系との比較や、マウスin vivoとの胆汁排泄能の種差について検討可能なデータを複数の化合物で得ることができた。両実験において、ヒト胆汁排泄過程を模倣した系としてのキメラマウスの有用性が一部示されたものと考えており、研究は計画通り順調に進行していると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、代謝酵素や胆汁排泄トランスポーター等の機能にも着目し、マルチステップで成立する薬物の肝胆系輸送・異物解毒能の定量的予測がキメラマウスのin vivo実験、キメラマウス由来肝細胞を用いたin vitro実験により既存の系と比較して、どのような優位性があるかについてさらなる検証を進めていく予定である。さらには、前年度の研究成果を基に、薬物トランスポーターの発現量の培養時間依存的な変動が何によるものかについて原因探索を行うことにより、さらなる系のrefinementを図っていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Comparison of the expression and function of hepatic drug uptake transporters in hepatocytes (PXB-cells) derived from humanized-liver mice (PXB-mice) and human cryopreserved hepatocytes2017

    • 著者名/発表者名
      Hanano Terashima, Kazuya Maeda, Yuji Ishida, Chise Tateno, Hiroyuki Kusuhara
    • 学会等名
      日本薬物動態学会 第32回年会

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公開日: 2018-12-17  

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