研究課題
本研究では、研究代表者の成功事例に基づき、「輸送担体の細胞膜を起点とする分解機構の制御」が、輸送担体の活性化が治療に繋がる疾患群に対する有用な創薬戦略であることを、アテローム性動脈硬化症の抑制作用を有する脂質輸送担体ABCA1を用いて検証する。研究代表者はABCA1の細胞膜からの分解がユビキチン化を起点として生じることを見出している。本知見に基づき、ABCA1の細胞膜におけるユビキチン化に関わる分子群を同定すべく、各種ライブラリーのスクリーニング、インタラクトーム解析を実施した。その結果、HepG2細胞においてABCA1の細胞膜でのユビキチン化レベルを亢進し、細胞膜からのABCA1の分解を促進するユビキチンリガーゼを複数同定することに成功した。当該分子のABCA1に対する影響を個体レベルで検証すべく、当該分子群の遺伝子改変マウスの作出を開始した。今後は、siRNAライブラリー、CRISPR-Cas9 sgRNAライブラリーを対象としたin vitroスクリーニングを継続して実施することにより、ABCA1の細胞膜におけるユビキチン化に関わる候補分子群の同定に努め、候補分子群を同定次第、遺伝子改変マウスを作出する。マウス作出後は、肝実質細胞、小腸上皮細胞、マクロファージなど、ABCA1が生理学的機能を担う細胞において、ABCA1のユビキチン化状態、細胞膜発現量、機能を評価する。また、アテローム性動脈硬化病巣の作成に汎用される高脂肪食負荷を行い、大動脈のアテローム性動脈硬化病巣の傷害面積を算出することにより、ABCA1の分解機構の制御がアテローム性動脈硬化症の抑制に働くことを確認する。
2: おおむね順調に進展している
本研究では初年度から次年度前半にかけて、cDNAライブラリー、siRNAライブラリー、CRISPR-Cas9 sgRNAライブラリーを対象としたin vitroスクリーニングに加え、インタラクトーム解析を実施することにより、ABCA1のユビキチン化を担う候補分子を特定することを目標としている。既にcDNAライブラリーのin vitroスクリーニング、インタラクトーム解析を完了し、複数の候補分子を同定し、当該分子のABCA1のユビキチン化に対する影響を個体レベルで検証すべく、遺伝子改変マウスの作出を開始している。
前年度に引き続き、各種ライブラリーを対象にin vitroスクリーニングを実施することにより、ABCA1のユビキチン化を担うユビキチンリガーゼの特定進める。候補分子の同定後は、当該分子の個体レベルでのABCA1に対するユビキチン化への影響を検証すべく、当該遺伝子の遺伝子改変マウスを作成する。マウス作出後は、ABCA1が生理学的機能を担う各細胞において、ABCA1のユビキチン化状態、細胞膜発現量、機能について評価する。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
EBioMedicine.
巻: 27 ページ: 187-199
10.1016/j.ebiom.2017.10.007.
J Hum Genet.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1038/s10038-018-0431-1.