研究課題
先天代謝異常症ニーマン・ピック病C型(NPC)は、細胞内脂質輸送・転送障害を呈する希少難病である。これまでに申請者らは世界に先駆けてNPC患者に2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin(HPBCD)脳室内投与療法を施行し、静脈内投与療法を上回る効果を示すことを示唆した。本研究では、これまでの研究成果を基盤に、NPC治療上の臨床課題を基礎に立ち返り解決するため、1) 病態モデル動物・細胞を用いたHPBCD脳室内投与の有効性・安全性評価、2) HPBCDによる中枢神経傷害抑制機序の解明、3) HPBCDの動態解析に基づく至適投与プロトコルを確立し、現在継続中のNPC治療に科学的根拠を提供するとともに、4) 患者ADL・QOLを高める新規創薬候補の探索を行い、基礎-臨床の橋渡し研究を加速し、NPC治療の最適化を図った。2017年度の検討で、病態モデルマウスでHPBCDの至適投与条件とその時のHPBCDの薬物動態学的検討を行った。また、モデル細胞を用い新規治療薬候補物質6-O-α-maltosyl-β-cyclodextrin(G2BCD)を見出した。2018年度は、確立した投与条件にてHPBCDを反復投与すると顕著な延命効果と末梢臓器障害の改善効果が見られた。また、新規治療薬候補G2BCDの物性評価および病態モデル細胞およびマウスでの有効性・安全性評価を行った。2019年度はこれらの知見に基づき、HPBCDおよび2-hydroxypropyl-γ-cyclodextrin(HPBCD)のコレステロールおよびスフィンゴ脂質類の細胞内転送障害に及ぼす影響について精査した。更に、臨床でHPBCDの用量制限因子となっている聴覚障害についてマウスにて精査し、HPBCDと比較し、HPGCDが聴覚障害性が低いことが示された。更に、有効性・安全性に優れる新規治療薬候補の探索を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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