研究課題
(1)スパイン基部形態の観察法の確立細胞ごとの蛍光強度を落とすことなく、低頻度に細胞を標識する方法を確立した。そして、細胞を低頻度にかつそれぞれは明瞭に可視化することに成功した(Oka et al., submitted)。今回、FIB-SEM法を用いて、スパイン頚部を3次元再構築し観察したが、その結果、従来頚部が頭部と同じ程度の径を持つとされるスパインの多くは、実は異なる方向から観察すると頚部が細いタイプであった。これは、従来のスパイン形態分類比率の常識を覆すものであり、スパイン基部(頚部)の形態が従来の想定よりも細いことを意味した。また、stubby型と称される、スパイン頚部と頭部の径がほぼ同じスパインが、実は想定よりも大変少ないことも判明した。スパイン基部は樹状突起とスパイン頭部間の受容体分子の通り道であるため、その形態制御が神経情報伝達の効率に重要であるとの可能性が示唆された。(2)シナプスでの情報伝達を担う分子のスパイン移入および移出の動態観察法の確立スパインから樹状突起への移入、もしくは樹状突起からスパインへ移出する分子の可視化を光褪色後蛍光回復法および光活性化法ですすめた。そして、スパイン ⇔ 樹状突起間 の分子移動に、フォスファチジルイノシトール3リン酸が重要な役割を担うこと、その際、フォスファチジルイノシトール3リン酸に、高い感受性で結合する特定の分子Phldb2が重要であることを見出し、グルタミン酸受容体のサブユニットに加え、この分子の動態(移動速度)と、スパイン基部の形態の相関について検討し論文として公表した(Xie et al., 2019)。(3)スパインにおけるミオシンIIの制御について検討した(Kuroda et al., 論文準備中)。(4)スパインで働く分子についてin vivo で検討した(Xie et al., 2019)。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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