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2019 年度 実績報告書

骨形成性毛細血管からみた内軟骨性骨化の新しい概念

研究課題

研究課題/領域番号 17H04015
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

松尾 光一  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40229422)

研究分担者 黒田 有希子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70455343)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード骨芽細胞 / 骨形成 / 石灰化 / 耳小骨 / コラーゲン / 中耳 / 内耳
研究実績の概要

2019年度(平成31年度)は次の4点を中心とした実験を行い、それぞれ結果を得た。
1.超石灰化骨芽細胞(Hypermineralizing osteoblasts)と命名した、Col1(Low)Col2(High)骨芽細胞の新規マーカーの候補を同定した。生後2週令と5週令のマウスを用い、内軟骨性骨化過程の耳小骨からRNAを抽出し、マイクロアレイを用いた発現解析を行った。発現量の高い遺伝子群の中から、ヒトの疾患に関わる遺伝子や、石灰化に関与することが示唆されているものを選び、超石灰化骨芽細胞の新たなマーカーとなり得る遺伝子を同定した。
2.超石灰化骨芽細胞が、耳小骨だけでなく中耳・内耳を構成する骨の形成に寄与していることを示唆する組織学的データを得た。
3.超石灰化骨芽細胞の分化条件を検討した。前骨芽細胞株を用いて、細胞外マトリックスの組成や成長因子の添加などを変えて、試験管内で超石灰化骨芽細胞が出現する条件を探索した。その結果、用いた前骨芽細胞株において、II型コラーゲンの発現を試験管内で誘導する因子が見いだされた。
4.骨芽細胞と骨形成性毛細血管の関係を解析した。耳小骨では、毛細血管周囲に骨芽細胞が配列していたが、長管骨の通常の骨芽細胞も、毛細血管に直接、接触していることが判明してきた。高輝度放射光施設SPring-8(兵庫)でのX線位相顕微鏡トモグラフィーで取得した3次元画像において、血管内皮細胞と骨芽細胞のセグメンテーションを行い、疑似カラーを与えて可視化した。また、免疫組織化学によって、血管内皮細胞と骨芽細胞との関係を画像化した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

順調に進んだ点は、石灰化を直接計測する技術を持つ海外研究者(オーストリア、ルートヴィッヒ・ボルツマン骨学研究所 Ludwig Boltzmann Institute of Osteology)との共同研究が結実し、「超石灰化」を定量的に示す結果を得ることができたことである。一方、メカニズム解明という点では、培養細胞系で骨芽細胞がII型コラーゲンを発現する細胞株とその培養条件が判明したものの、I型コラーゲンだけを発現する骨芽細胞の培養条件が、用いている前骨芽細胞株では不明のままであり、骨芽細胞系譜の分岐メカニズム解明し、「超石灰化」の分子メカニズムについてより深い理解を目指さなくてはならない。

今後の研究の推進方策

最終年度(2020年度)は、次の2点を中心とした実験を行い、結果の論文発表を目指す。
1.マイクロアレイで、超石灰化骨芽細胞の分化過程の耳小骨で発現していたマーカー遺伝子の候補について解析する。発現していた遺伝子に由来する精製タンパク質を骨芽細胞株に添加したり、培養ウエルの底をコーティングしたりして、超石灰化骨芽細胞の性質を誘導する機能を持つことを明らかにする。その遺伝子発現を、内軟骨性骨化過程の耳小骨で in situハイブリダイゼーション法を用いて解析することで生体内でも働いていることを示す傍証を得る。「超石灰化」を引き起こす分子メカニズムについて、より深い洞察を得る実験を行う。
2.腓骨の内軟骨性骨化過程で、骨形成性毛細血管の存在を組織学的に可視化するとともに、骨周囲の筋組織からの圧迫が、破骨細胞形成を誘導し、皮質骨の反対側で、骨芽細胞を伴う骨形成性血管が新生することを示す。
1と2のそれぞれについて論文化を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Ludwig Boltzmann Institute of Osteology(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      Ludwig Boltzmann Institute of Osteology
  • [学会発表] Osteoclast-Osteoblast “Trans-pairing” across Cortical Bone Shapes Developing Long Bones.2019

    • 著者名/発表者名
      Koichi Matsuo, Masaki Yoda, Yukiko Kuroda, Katsuhiko Kawaai, Yanlin Wu, Hidekazu Takano, Atsushi Momose.
    • 学会等名
      米国骨代謝学会(ASBMR)
    • 国際学会
  • [学会発表] マウス耳小骨のタルボ位相イメージング2019

    • 著者名/発表者名
      松尾光一
    • 学会等名
      SPring-8シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 超石灰化骨芽細胞によって形成された骨はII型コラーゲンを含み骨密度が高くなる2019

    • 著者名/発表者名
      黒田有希子、河合克宏、松尾光一
    • 学会等名
      第37回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 内軟骨性骨化で形成される耳小骨は軟骨原器より小さい2019

    • 著者名/発表者名
      松尾光一、黒田有希子、河合克宏、百生敦、姫しゅうてい
    • 学会等名
      第37回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] X-ray Talbot imaging from bone to tunicate2019

    • 著者名/発表者名
      松尾光一
    • 学会等名
      The 15th Symposium of Japanese Research Community on X-ray Imaging Optics
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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