エンドサイトーシス制御シグナルであるRas-PI3K複合体のエンドソーム局在を決定するPI3K由来の責任配列として、Ras and PI3K endosomal localization(RAPEL)を同定した。RAPELの結合因子のスクリーニングを行い、30種類以上の結合因子候補を同定した。このうち、5因子についてはRAPELと実際に結合すること、Ras-PI3K複合体のエンドソーム局在に対して、ポジディブないしネガティブに働くことを確認した。 結合候補因子の一つ、voltage-dependent anion chanel 2(VDAC2)は、ミトコンドリア外膜に局在するポアタンパク質であり、生理的および病理的条件下において様々な物質を通すことが知られている。VDAC2はミトコンドリアタンパク質であるにも関わらず、Ras-PI3Kシグナルによりエンドサイトーシス制御において、正の制御因子として機能することが示された。そこで、ミトコンドリアタンパク質がどのようにしてエンドサイトーシスやエンドソームからのシグナルに関与するかを調べるため、エンドソームとミトコンドリアのライブセルイメージングを行ったところ、両者の間には動的な相互作用があり、VDAC2とRAPELの結合がその相互作用をtetherすることが明らかになった。また、この一連の相互作用はエンドソームの成熟化に重要であることも示された。 一方、他の制御因子であるinsulin receptor substrate 4(IRS4)は、epidermal growth factor(EGF)依存的にその局在を細胞質からエンドソームへと変化させる、環境依存的なRas-PI3Kシグナルの制御因子であることが明らかになってきた。
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