研究課題/領域番号 |
17H04022
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
浜田 俊幸 国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (20360208)
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研究分担者 |
中村 孝博 明治大学, 農学部, 専任准教授 (00581985)
サザランド ケネス・リー 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (70643914)
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体内時計 / 時計遺伝子 / in vivo / フリームービング |
研究実績の概要 |
本研究は、光イメージング技術を利用した完全自由行動下マウスにおける時計遺伝子発現定量をリアルタイムで、脳および内臓などの体表、深部組織の遺伝子発現を行動計測と同時に測定するシステムの完成を目指すものである。さらに遺伝子発現を解析するアルゴリズムを構築することにより遺伝子発現リズムの乱れとリズム性疾患発症の関係が明らかになり疾患発症機構解明および治療法の確立に大きく貢献できると考える。本年度は以下の4つを行った。1.リアルタイム遺伝子発現追跡定量技術の確立において3次元空間の位置同定の誤差を0.5mm以内にするアルゴリズムと機器の構築を行った。2. 自由行動マウスの生体深部を計測するセンサーを作製し、センサーの光特性やセンサー内の部位特異性などを詳細に調べ、可視領域の光全てに感度特性を持ち、約1mm四方の組織の大きさの部位も計測できる特性を持つことを明らかにした。3.長期間計測における発光基質であるルシフェリンの安定性について調べた。本研究ではルシフェリン・ルシフェラーゼ反応を利用した発光イメージングを用いるが、時計遺伝子発現リズムを計測するには長期間の計測が必要であり、発光基質であるルシフェリンを長期間安定的にマウスに供給しなければならないが、長期間投与におけるルシフェリンは2週間過ぎから光学異性体であるL体に変化する量が増加し、それらが発光を阻害する可能性があることを明らかにした。4.動物個体レベルでの解析では、脳深部(嗅球、大脳皮質)および肝臓の遺伝子発現を同時に長期間計測し、同時に計測する行動リズムのデータをもとに糖尿病になるまで、発症後の生体各組織の時計遺伝子発現リズムの変化過程および行動リズムの変化過程を解析し、糖尿病発症と時計遺伝子発現リズムの関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は光イメージング技術を利用した完全自由行動条件下マウスにおける時計遺伝子発現定量を、リアルタイムで行動計測と生体体表および深部の各組織を同時に測定するシステムの完成を目指すものである。計測プログラムおよび組織密着型センサーの開発は順調に進んでいる。計測対象であるマウスの繁殖などでトラブルが発生したが、組織密着型センサーの大きさを縮小するなどし、体の小さい若齢マウスでも計測が可能となった。研究遂行上、問題なく進むものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
自由行動条件下、マウスにセンサーをとりつけ脳および末梢組織の時計遺伝子発現リズムを計測し、脳、末梢組織、行動をリアルタイムにリンクして情報伝達系を解析していく。 糖尿病誘発薬や覚醒維持作用をもつ覚醒剤など薬物によって誘発される疾患発症までの過程および発症後において、生体内各組織の時計遺伝子発現リズムの変化をリアルタイムで計測していく。脳深部は光ファイバーを挿入し疾患に関与すると考えらえる部位に挿入する。末梢組織は組織密着型センサーを組織ごとに大きさを変えて長期間、時計遺伝子を計測していく。時計遺伝子発現量が増加あるいは減少する部位、発現リズムが消失する部位などを明らかにし、疾患発症のどの時期に時計遺伝子発現が変化するかを調べ、時計遺伝子発現と疾患発症の関係を明らかにしていく。
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