研究課題/領域番号 |
17H04027
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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研究分担者 |
吉村 充弘 産業医科大学, 医学部, 助教 (00464462)
丸山 崇 産業医科大学, 医学部, 准教授 (20533194)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生理学 / 神経科学 / 生理活性 / 遺伝子 / ストレス / トランスジェニックラット / 光遺伝学 / 薬理遺伝学 |
研究実績の概要 |
下垂体後葉ホルモンに関連する種々の遺伝子改変動物(トランスジェニックラット)を用いて実験を行い、平成30年度に得られた成果は以下のとおりである。1)バゾプレッシン-ChR2-eGFPトランスジェニックラットを用いて、視床下部視索上核を含む脳切片を作成し、ホールセルパッチクランプ法により青色光照射した間の内向き電流の大きさの変化とその間の興奮性および抑制性シナプス後電流を解析した。その結果、内向き電流の逆転電位はほぼ0mVであることを明らかにした。2)バゾプレッシン-eGFPトランスジェニックラットを用いて、利尿剤として汎用されているフロセミドの効果を検討した。その結果、フロセミド投与による利尿作用は血管内容量減少を引き起こし、バゾプレッシン-eGFP合成の増加を引き起こすことを明らかにした。3)バゾプレッシン-eGFPおよびオキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットの視床下部バゾプレッシン-eGFPおよびオキシトシン-mRFP1発現の雌雄差および卵巣摘出、卵巣摘出後のエストロゲン補充の効果を検討した。その結果、バゾプレッシン-eGFP蛍光の正中隆起外層での劇的な変化を明らかにした。さらにバゾプレッシン-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットを用いることでこの変化がストレスホルモンの分泌に関与していることを明らかにした。4)オキシトシン-hM3Dq-mCherry融合遺伝子を用いてトランスジェニックラットの作出に着手し、ファウンダーが得られた。現在、交配によってF1を得てトランスジェニックラインを確立しようとしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バゾプレッシン-ChR2-eGFPトランスジェニックラット、バゾプレッシン-eGFPトランスジェニックラット、バゾプレッシン-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットおよびオキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットは本学動物研究センターにて順調に繁殖・継代しており、種々の生理学的実験二充分な引数を供給し続けている状況である。また、計画通り、今年度にオキシトシン-hM3Dq-mCherry融合遺伝子を用いて作出したトランスジェニックラットのファウンダーからF1を複数匹得ることができ、新たなトランスジェニックラットラインの確立が期待できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2年目を終え、おおむね計画通りに進展していることから、今後もバゾプレッシン-ChR2-eGFPトランスジェニックラット、バゾプレッシン-eGFPトランスジェニックラット、バゾプレッシン-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットおよびオキシトシン-mRFP1トランスジェニックラットを用いた生理学的実験を進めていく予定である。さらに、オキシトシン-hM3Dq-mCherryトランスジェニックラットラインの確立により、オキシトシン系の脳内神経回路網の生理的役割解明にさらなる研究の進展が期待できる。
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