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2017 年度 実績報告書

脊髄小脳変性症におけるアミロイド様線維形成機構の解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H04032
研究機関神戸大学

研究代表者

齋藤 尚亮  神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (60178499)

研究分担者 足立 直子  神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 助教 (70604510)
上山 健彦  神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (80346254)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードリン酸化酵素 / アミロイド / 創薬 / Hspファミリー / モデル動物
研究実績の概要

本研究では、脊髄小脳変性症14型(SCA14)の原因となる変異型PKCgammaをモデルとして、①異常たんぱく質凝集体の形成阻害メカニズムの解明、②アミロイド様線維合成阻害薬の開発、③形成されたアミロイド様線維を分解、無毒化する機構の解明を目的とする。特に分子シャペロンの機能に着目し、アミロイド合成阻害作用を持つ分子群の作用機構を明らかにし、該当する分子に作用する薬物を同定しようとするものである。さらに、SCA14モデルマウスを用いて、凝集体抑制物質の有効性、アミロイド分解機構を検討し、多くの神経変性疾患に有効な予防薬の開発につなげようとする研究である。
現在までに、①Hspファミリーによる変異型PKgammaの凝集体形成抑制機序の検討を行い、②有効なHspの発現誘導が可能な薬物のスクリーニングを行った。具体的には、培養細胞および初代培養プルキンエ細胞において、Hsp70およびHsp40の発現が変異型PKCgammaの凝集体形成を抑制することが可能であり、セラストロールおよびハービマイシンに、Hsp70およびHsp40の発現誘導する作用をもつことが確認できた。セラストロールおよびハービマイシンは初代培養プルキンエ細胞において、凝集体形成を有意に抑制した。また、これらの薬剤をマウスに投与したところ、セラストロールは、小脳において、Hsp70の発現誘導作用を有することが確認された。
今後、より脳内移行性が高く、かつHsp誘導作用を持つ薬物について検討する。それらの薬物をSCA14モデルマウスに投与し、凝集体抑制作用について解析する予定である。同定された薬物は、アミロイド形成により発症するすべての神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、小脳脊髄変性症などの本質的な治療薬としても応用可能であると推測できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、①Hspファミリーによる変異型PKCgammaの凝集体形成抑制機序の検討を行い、②有効なHspの発現誘導が可能な薬物のスクリーニングを行った。これらの研究は、計画調書に記載した研究計画をほぼ遂行したものであり、同時に有望な結果を得ている。
具体的には、培養細胞および初代培養プルキンエ細胞において、Hsp70およびHsp40の発現によって、変異型PKCgammaの凝集体形成を抑制することが可能であり、セラストロールおよびハービマイシンに、Hsp70およびHsp40の発現誘導する作用をもつことが確認できた。セラストロールおよびハービマイシンは初代培養プルキンエ細胞において、凝集体形成を有意に抑制した。また、これらの薬剤をマウスに投与したところ、セラストロールは、小脳において、Hsp70の発現誘導作用を有することが確認された。

今後の研究の推進方策

今後、より脳内移行性が高く、かつHsp誘導作用を持つ薬物について検討する。それらの薬物をSCA14モデルマウスに投与し、凝集体抑制作用について解析する予定である。同定された薬物は、アミロイド形成により発症するすべての神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、小脳脊髄変性症などの本質的な治療薬としても応用可能であると推測できる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件)

  • [雑誌論文] Validation of Anti-CSPα, SNAP25, Tyrosine Hydroxylase, Ubiquitin, Cleaved Caspase 3, and pSer PKC Motif Antibodies for Utilization in Western Blotting2017

    • 著者名/発表者名
      Shirafuji Toshihiko、Ueyama Takehiko、Tanaka Shigeru、Hide Izumi、Saito Naoaki、Sakai Norio
    • 雑誌名

      Acta Histochem Cytochem

      巻: 50 ページ: 177~180

    • DOI

      10.1267/ahc.17028

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Loss of the Phenolic Hydroxyl Group and Aromaticity from the Side Chain of Anti-Proliferative 10-Methyl-aplog-1, a Simplified Analog of Aplysiatoxin, Enhances Its Tumor-Promoting and Proinflammatory Activities2017

    • 著者名/発表者名
      Hanaki Yusuke、Kikumori Masayuki、Tokuda Harukuni、Okamura Mutsumi、Dan Shingo、Adachi Naoko、Saito Naoaki、Yanagita Ryo C.、Irie Kazuhiro
    • 雑誌名

      Molecules

      巻: 22 ページ: 631~631

    • DOI

      10.3390/molecules22040631

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Novel role of Rac-Mid1 signaling in medial cerebellar development2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Takashi、Ueyama Takehiko、Ninoyu Yuzuru、Sakaguchi Hirofumi、Choijookhuu Narantsog、Hishikawa Yoshitaka、Kiyonari Hiroshi、Kohta Masaaki、Sakahara Mizuho、de Curtis Ivan、Kohmura Eiji、Hisa Yasuo、Aiba Atsu、Saito Naoaki
    • 雑誌名

      Development

      巻: 144 ページ: 1863~1875

    • DOI

      10.1242/dev.147900

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Golgi-Associated Protein Kinase C-ε Is Delivered to Phagocytic Cups: Role of Phosphatidylinositol 4-Phosphate2017

    • 著者名/発表者名
      Hanes Cheryl M.、D’Amico Anna E.、Ueyama Takehiko、Wong Alexander C.、Zhang Xuexin、Hynes W. Frederick、Barroso Margarida M.、Cady Nathaniel C.、Trebak Mohamed、Saito Naoaki、Lennartz Michelle R.
    • 雑誌名

      J. Immunol

      巻: 199 ページ: 271~277

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1700243

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Novel Rac1-GSPT1 Signaling Pathway Controls Astrogliosis Following Central Nervous System Injury.2017

    • 著者名/発表者名
      Ishii, T., Ueyama, T., Shigyo, M., Kohta, M., Kondoh, T., Kuboyama, T., Uebi, T., Hamada, T., Gutmann, D.H., Aiba, A., Kohmura, E., Tohda, C., Saito, N.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.,

      巻: 292 ページ: 1240-1250

    • DOI

      10.1074/jbc.M116.748871

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The role of cysteine string protein alpha (CSPα) phosphorylation at Serine 10, and 34, by protein kinase Cγ for presynaptic maintenance2017

    • 著者名/発表者名
      Shirafuji, T., Ueyama, T., Adachi, N., Yoshino, YK-I., Sotomaru, Y., Uwada, J., Kaneoka, A., Ueda, T., Tanaka, S.,Hide, I., Saito, N., Sakai, N.
    • 雑誌名

      J. Neurosci.

      巻: 38 ページ: 278-290

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.1649-17.2017

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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