研究課題/領域番号 |
17H04035
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中山 啓子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60294972)
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研究分担者 |
城田 松之 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00549462)
舟山 亮 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20452295)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒストン修飾 / RNAポリメラーゼ / 修飾酵素 / H3K27me3 / H3K36me3 / DRB |
研究実績の概要 |
これまでK562細胞を用いて研究を行ってきたが、安定的にヒストンH3K27me3修飾の低下が観察されないので、NIH3T3細胞でSUZ12をノックダウンも同時に行い、ノックダウンによる転写の変化について調べた。ノックダウン細胞と正常細胞でRNAシークエンスを行い、その結果を比較する事で転写の変化を調べた。この時、ヒストンH3K27me3修飾が全ゲノム上で著しく低下するしている事を確認している。 この際、転写量が変化した遺伝子を選び、RNAの伸長速度を決定する条件検討を行った。測定方法は、単位時間あたりに伸長したRNAを対象に核酸アナログを用いてラベルし、ラベルされたRNAについて、その量をqPCRを用いて決定した。 まず、転写伸長速度はRNA ポリメラーゼによる転写の阻害剤であるDRB処理する事で、RNAポリメラーゼを転写領域排除し、転写を一旦停止される。その後、DRBを洗浄し、BrU含有培養液に置換し、一定時間培養する。この間に転写が開始されるが、新規合成RNA はBrUによってラベルされている。BrU含有培養液中で培養後に細胞からpre-mRNA を回収する。このRNAを抗BrU抗体で免疫沈降する事で、新規合成されたBrU含有RNA を回収しすることができる。注目している遺伝子上に適切な間隔で設計したプライマーを用いqPCR 法でのラベルされているRNA量を定量する。転写量や遺伝子長が異なる遺伝子を抽出しする。同時にH3K27me3修飾量をCbIP qPCR で測定し、転写伸長速度との相関性を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、伸長速度を定量的に計測するための条件検討に時間を予定していた。 K562細胞に加え、NIH3T3細胞で、伸長速度の測定条件がほぼ確定できたと考えており、おおむね順調に進んでいると考えている。 伸長速度を計測するために用いているDRBの至適濃度が決定されたので、適当な条件検討で計測を行っている。 Pre RNA量の測定はこれまでにも多くの経験を積んでおり、DRB 処理によってpre-RNA 量の減少を定量的に測定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
転写伸長速度を測定するためにRNA ポリメラーゼによる転写の阻害剤であるDRB処理後に、BrU含有培養液で一定時間に新規合成RNA をラベルし、その後にpre-mRNA を回収する。Pre-mRNAから抗BrU抗体を用いてBrUでラベルされているRNA を回収する事で、新規合成RNA は回収できる。 回収産物量は、回収されたRNAをテンプレートとして、qPCR によって定量する。当該遺伝子上に適切な間隔で設計したプライマーを用いてqPCR 法でRNA量を定量する事で、ラベルを行った時間の間にRNA ポリメラーゼが移動した距離を測定する事が可能である。 これまで転写量が非常に多いGAPDH遺伝子をモデル遺伝子として用いてきた。今後は、転写量や遺伝子長が異なる遺伝子の測定を予定している。具体的には、転写量の少ないF-box タンパク質である Fbwx1やFbx7、また遺伝子の大きさが大きいNEK1などである。同時にそれぞれの遺伝子のH3K27me3修飾量をプロモーター領域およびGene body で調べるために、抗H3K27me3抗体を用いたCbIP qPCR を行う。それによって、修飾量と転写伸長速度との相関性を調べる。また、H3K27me3修飾酵素であるSUZ12をshRNA を用いてノックダウンする事で、H3K27me3の修飾量を減らした状態で、同様の測定を行い、H3K27me3修飾量と転写伸長速度との相関性を調べる。 さらに、プロモーター領域にsgRNA を設計し、ヌクレアーゼ活性を欠失させたdCas9 のカルボキシル末端側に転写活性化因子Vp64を融合させたdCas9 -Vp64をプロモーターへリクルートする。この方法は、強制的に転写を誘導する方法である。この時のH3K27me3修飾量と転写伸長速度との関連を調べる。
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