• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

Sox2/TBP複合体のクロマチンリモデリング活性と多能性誘導能のメカニズム解析

研究課題

研究課題/領域番号 17H04044
研究機関長崎大学

研究代表者

伊藤 敬  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90306275)

研究分担者 中川 武弥  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50363502)
米田 光宏  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80508367)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードクロマチン / 遺伝子転写 / SOX2 / TBP
研究実績の概要

細胞分化のリプログラミング因子Oct3/4, Sox2, Klf4, cMycによる多能性獲得のメカニズムを明らかにすることを目的とする。この4因子の一つであるSox2が基本転写因子であるTBPを含むサブユニットとComplexを作ることを明らかにした。Sox2/TBP Complex中にコアヒストンが含まれていることを明らかにした。Core Histonesを有するSox2/TBP Complexのクロマチン構造変換能に関してスーパーコイリングアッセイにより調べた。環状プラスミドを用いてクロマチン形成を行わせ、プラスミドDNA, Core Histonesとクロマチン形成因子rNAP-1, rACFによりスーパーコイルで示されるヌクレオソーム形成能が示される。このアッセイを用いてrNAP-1の代わりにrOct3/4を反応に加えるとスーパーコイルで示されるヌクレオソーム形成能が消失するが、rNAP-1の代わりにrSox2又はSox2/TBP Complexを加えるとスーパーコイルで示されるヌクレオソーム形成能は保持される。すなわちrSox2にクロマチン構造形成能があることを明らかにした。さらにクロマチンを鋳型とした試験管内遺伝子転写によりSox2とSox2/TBP Complexの違いを調べるとSox2/TBP Complexに強い転写活性可能があることが明らかとなった。これらの成果はOct3/4, Sox2, Klf4, cMycの4因子によるリプログラミングの分子メカニズムの一端を明らかにしたものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画したように細胞分化のリプログラミング因子の一つであるSox2が基本転写因子であるTBPを含むサブユニットとComplexを作ることを明らかできた。さらにSox2/TBP Complex中にコアヒストンが含まれていることを明らかにした。Core Histonesを有するSox2/TBP Complexのクロマチン構造変換能に関してスーパーコイリングアッセイにより調べ、rSox2又はSox2/TBP Complexを加えるとスーパーコイルで示されるヌクレオソーム形成能は保持される。すなわちrSox2にクロマチン構造形成能があることを明らかにできた。さらにクロマチンを鋳型とした試験管内遺伝子転写によりSox2とSox2/TBP Complexの違いを調べるとSox2/TBP Complexに強い転写活性可能があることを明らかにした。これらの成果は3年目の成果発表への準備としてほぼ満足できるものである

今後の研究の推進方策

Sox2およびTBPのChip-seqデータを公共データベースからダウンロードし解析した。興味あることにSox2およびTBPはrDNA領域にマップされた。ES細胞は線維芽細胞などに比較して細胞分裂速度は著しく早く、リボソーム代謝も亢進していることが予想される。Sox2/TBP ComplexはES細胞特異的な遺伝子転写に加えてrRNA転写を調節していれば合理的である。この仮説を証明するためにSox2およびTBPのノックダウン実験を行いrRNA転写の変化をRT-qPCR法に調べる。さらにrRNAのプロモーターを用い転写用のプラスミドを設計する。それを用いてクロマチン形成し、鋳型とした試験管内遺伝子転写によりSox2とSox2/TBP Complexの違いを調べる。RNA PolIIで観察されたSox2/TBP Complexの強い転写活性化能がRNA PolIにおいても同様か否かを明らかにする。この実験によりSox2/TBP ComplexがリプログラミングやES細胞の多能性維持において、未分化細胞に特異的な遺伝子転写のみではなくrRNA転写に重要であるか否かを調べることができる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Enhancer function regulated by combinations of transcription factors and cofactors2018

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Takeya、Yoneda Mitsuhiro、Higashi Miki、Ohkuma Yoshiaki、Ito Takashi
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 23 ページ: 808~821

    • DOI

      10.1111/gtc.12634

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MicroRNA-3662 expression correlates with antiviral drug resistance in adult T-cell leukemia/lymphoma cells2018

    • 著者名/発表者名
      Yasui Kiyoshi、Izumida Mai、Nakagawa Takeya、Kubo Yoshinao、Hayashi Hideki、Ito Takashi、Ikeda Hiroaki、Matsuyama Toshifumi
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 501 ページ: 833~837

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2018.04.159

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Defects in centromeric/pericentromeric histone H2A T120 phosphorylation by hBUB1 cause chromosome missegregation producing multinucleated cells2018

    • 著者名/発表者名
      Maeda Katsutoshi、Yoneda Mitsuhiro、Nakagawa Takeya、Ikeda Kazuhiro、Higashi Miki、Nakagawa Kaori、Miyakoda Mana、Yui Katsuyuki、Oda Hiroaki、Inoue Satoshi、Ito Takashi
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 23 ページ: 828~838

    • DOI

      10.1111/gtc.12630

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The MAP3K2-ERK5 pathway upregulates cyclin D1 expression through histone H2A (Thr120) phosphorylation by VRK1.2018

    • 著者名/発表者名
      Kato, M., Yoneda, M., Takeshima, Y., Amatya, V.J., Higashi, M., Nakagawa, T., and Ito, T.
    • 雑誌名

      Acta Medica Nagasakiensia

      巻: 62 ページ: 15-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chromosomal Abnormalities in Human Lymphocytes after Computed Tomography Scan Procedure2018

    • 著者名/発表者名
      Shi Lin、Fujioka Kurumi、Sakurai-Ozato Nami、Fukumoto Wataru、Satoh Kenichi、Sun Jiying、Awazu Akinori、Tanaka Kimio、Ishida Mari、Ishida Takafumi、Nakano Yukiko、Kihara Yasuki、Hayes C. Nelson、Aikata Hiroshi、Chayama Kazuaki、Ito Takashi、Awai Kazuo、Tashiro Satoshi
    • 雑誌名

      Radiation Research

      巻: 190 ページ: 424~432

    • DOI

      10.1667/RR14976.1

  • [学会発表] Histone H2A Thr 120 phosphorylation results in cancer via up regulation of Cyclin D12018

    • 著者名/発表者名
      Takashi Ito
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [備考] 長崎大学医学部生化学

    • URL

      http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/biochem/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi