研究実績の概要 |
リプログラミング因子Sox2による多能性獲得のメカニズムを明らかにすることを目的とし、令和元年度はCore Histonesを有するSox2/TBP Complexのクロマチン構造変換能に関してスーパーコイリングアッセイにより調べた。陽性コントロールとしてプラスミドDNA, Core Histonesとクロマチン形成因子rNAP-1, rACFによりヌクレオソームを形成する。スーパーコイルが導入されるとヌクレオソーム形成能があることがわかる。rNAP-1の代わりにrOct3/4、rSox2又はSox2/TBP Complexを加え、スーパーコイルで示されるヌクレオソーム形成能があるか否かを調べたところ、rSox2にクロマチン構造変換能があることが明らかとなった。 rSox2又はSox2/TBP Complexが遺伝子転写に与える影響を試験管内転写により調べた。Sox2結合領域を従来転写研究に用いられているAdE4 プロモーターに連結したプラスミドによりSox2単体とSox2/TBP Complexの違いを明らかにした。Sox2/TBP ComplexはSox2単体よりもクロマチンのリモデリング、転写活性化とも高い値を示した。Sox2/TBPのChip seqのデータ解析を行うとRNA PolIIに加えてRNA PolIの転写にも関与するらしいことを明らかにした。RNA PolIの転写プラスミドにSox2結合領域を挿入しクロマチンリモデリングと転写活性化に関して調べた。Sox2/TBP ComplexはSox2単体よりもRNA PolIの転写領域のクロマチンのリモデリング、転写活性化とも高い値を示した。これらの成果はOct3/4, Sox2,などの因子がリボソームへの転写にも影響を与えリプログラミングを協調的に進めることを明らかにしたものである。
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