研究課題/領域番号 |
17H04049
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
今居 譲 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (30321730)
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研究分担者 |
井下 強 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20601206)
柴 佳保里 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30468582)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ドパミン神経 / ショウジョウバエ / 光遺伝学 / カルシウム / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
本年度は、まずパーキンソン病との関連性が高い運動機能に関わるドパミン神経核を遺伝子操作することにより、光刺激依存的な行動異常を起こすハエ系統の樹立を進めた。光刺激には青色光、緑色光、赤色光それぞれに反応するチャネルロドプシンを導入し、光のon-off依存的にドパミン神経の活性化が見られる青色光チャネルロドプシンによるハエ系統の樹立進めた。青色光チャネルロドプシンの照射により、運動機能の持続的活性化、ドパミン神経の高度な脱落、シナプス構造への影響が認められた。この光依存的な神経興奮の系において、さらにalpha-Synucleinの伝搬と凝集をみることを試みたが、トランスジェニックハエのalpha-Synuclein発現がドパミン神経以外にも幅広くリークしているという問題が認められ、この課題は中止した。 次に、ドパミン神経終末でのミトコンドリアのCaイメージングを実施するためのハエ系統の樹立と条件設定を行った。電気刺激後に、神経終末に流入するCaはGCaMP6でモニターし、その後にミトコンドリアへ吸収されるCaは、mito-GCaMPでモニターできる系を確立した。しかしながら、mito-GCaMPは感度が低いという問題があり、新たに改良型mito-GCaMPのハエ作製を進めた。並行して、ハエに存在する三種類のCaチャネルをドパミン神経でノックダウンし、いずれがドパミン神経興奮において主要な役割を持つかに関して行動解析を指標に進めた。 ドパミン神経変調に関わる遺伝子として、既知パーキンソン病遺伝子の総当たり解析を進めた。その結果、パーキンソン病遺伝子で中心的役割を示すと考えられる遺伝子群を明らかにしつつあり、その抗体作製も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経終末でのmito-GCaMPの感度不足という問題はあったが、年度内に新たなハエ系統を樹立でき、次年度はじめにはキャラクタライズする予定である。一方、H30年度に予定していたドパミン神経変調に関わる遺伝子のスクリーニングが前倒しで進んでおり、新たな知見が得られている。H29年度樹立したハエ系統の利用により、この知見のデータ強化が望める。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はハエモデルを用いてドパミン神経変調に関わる遺伝子のキャラクタライズを中心に進める。特にパーキンソン病発症のキーワードとなるミトコンドリア、小胞輸送双方に関与すると考えられる遺伝子に重点を置く。これら遺伝子産物の抗体も前年度から作製しており、分子レベルでの詳細解析を行う予定である。
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