研究課題
パーキンソン病(PD)は、アルツハイマー病に次いで罹患人口が多い老人性神経変性疾患である。PDの運動症状の原因となるドーパミン神経が変性する要因は未解明で、その予防法もない。この神経選択的変性の要因を明らかにし、その理解からPD発症を予想し早期予防に繋げることが社会的に求められる。本研究では、加齢依存的なドーパミン神経変性が見られかつ遺伝子操作が容易なショウジョウバエで新規PDモデルを樹立し、これを用いてドーパミン神経特異的な病態背景を分子レベルで解明する。さらにハエの解析から得られた知見を、孤発性PD患者iPS細胞由来ドーパミン神経を用いて確認し、ドーパミン神経特異的表現型の特徴からPDの早期予防法開発のための探索系の樹立を目指す。今年度は、孤発性および家族性iPS細胞から樹立したドーパミン神経をもちいて創薬スクリーニングを実施し、ミトコンドリアを標的とする薬剤候補を5つ同定した。さらにそれらをハエモデルでの評価を進めた。ミトコンドリア関連PDモデルとして、PINK1ノックダウンハエを用い、候補薬剤を餌とともに投与し、ミトコンドリア形態、ATP産生能、運動機能の改善を指標に評価した。得られた成果は論文として発表した。一方、Parkinを活性化する薬剤を細胞ベースでのレポーターアッセイにてスクリーニングし、2種の候補薬を得た。さらに、この2種の薬剤をiPS細胞から樹立したドーパミン神経でのParkinの活性化、PINK1ノックダウンハエでの運動機能解析、ミトコンドリア形態、ミトコンドリアCa2+イメージングにて評価し、論文として報告した。一方、若年性PDの剖検脳を解析した結果からアストロサイトの機能低下が疑われた。若年性PD変異iPS細胞から作製した中脳オルガノイドでもアストロサイト分化の低下が再現され、中脳アストロサイトがドーパミン神経の分化や生存性に影響を及ぼす可能性を論文としてまとめ発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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