研究課題
パーキンソン病は人生の中~晩年期に運動障害症状を主症状として認知症などを併発する疾患である。さまざまな薬剤が存在するが、疾患の進行を修飾できる疾患修飾薬は存在しない。研究代表者は、SNPによるゲノムワイド関連解析(SNP-GWAS)や全エクソーム解読による関連解析など、パーキンソン病(PD)の大規模ゲノム解析を系統だって行ってきた。本研究では、この研究の流れをさらに進展し、パーキンソン病患者エクソームデータについてを遺伝統計的に解析し、孤発性・家族性パーキンソン病に関与するさらなるパーキンソン病遺伝子を発見する。細胞およびin vivoモデル等をもちいて、パーキンソン病遺伝子の分子病態を解明し、パーキンソン病の疾患修飾薬の開発を目指す。これまで、パーキンソン病ゲノムデータを取得し、遺伝統計的に解析を行った。さらに、Drug repositioning創薬として、パーキンソン病遺伝子RIT2とタンパク-タンパク相互作用をもつBRAFに対し作用するメラノーマ薬Dabrafenibが、神経保護作用をもつことを発見し、論文発表と特許の取得を行った。また、SHSY5Y/HEK293といった通常細胞での病態解析にくわえ、パーキンソン病遺伝子のリスクSNPをゲノム編集技術によりiPS細胞へ導入した細胞株を樹立した。ドパミン細胞への分化を行い、SNP型による遺伝子発現をrealtime PCRやRNAseq等の手法で解析し、予備的なデータを得た。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画通り進捗しているため。
さらに別のパーキンソン病遺伝子に関し、ショウジョウバエモデルを樹立し、進行性運動障害の経時的評価や、生存率・寿命の観察、免疫組織染色による神経変性の観察を行う。α-synucleinトランスジェニック体など、パーキンソン病遺伝子の遺伝子改変ショウジョウバエとかけ合わせをおこない、表現型の改善増悪を観察するなどして、PD遺伝子間の相互作用・遺伝子機能を解明する。
すべて 2018
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Hum Mol Genet
巻: 27 ページ: 3974-3985
10.1093/hmg/ddy279.