研究課題/領域番号 |
17H04057
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鬼島 宏 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90204859)
|
研究分担者 |
呉 雲燕 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40636586)
吉澤 忠司 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70761071)
袴田 健一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30271802)
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 胆道癌 / 膵癌 / 上皮間葉転換 / 浸潤性増殖 / 癌微小環境 / 時計遺伝子 |
研究実績の概要 |
胆道癌・膵癌が高悪性度形質を示す微小環境特性は、早期浸潤病巣より癌細胞の上皮間葉転換 (epithelial- mesenchymal transition, EMT) が生じ、線維化・脈管侵襲・神経浸潤を伴う顕著な浸潤性増殖と表現できる。我々は、この微小環境特性が、概日リズムを形成する時計遺伝子(bHLH型転写因子)の制御を基盤とした、癌幹細胞の分化・癌細胞増殖・腫瘍血管新生によって生じると考えている。この考えに基づき、胆膵癌の高悪性度形質を制御する分子機構を確立し、その特異的阻害剤を作製して、臨床応用への展開を探索する。平成29年度は、胆道癌・膵癌細胞に対して (1) 癌幹細胞マーカー陽性細胞・陰性細胞の分離、(2) 三次元培養法を用いて、癌微小環境内における浸潤性病巣およびリンパ管/血管侵襲の形成機序を病理形態学的・分子生物学的に解析、(3) in silicoの立体構造解析により時計遺伝子産物の特異的阻害剤の作製を試みた。 (1) 胆道・膵の癌幹細胞の特性:MACS (Magnetic Cell Sorting) を用いた癌幹細胞マーカー陽性細胞の分離により、癌幹細胞の同定に向けて解析中である。一方時計遺伝子発現と細胞増殖能・浸潤能に関しては、一定の成果が得られた。 (2) 三次元培養法による浸潤性癌微小環境モデルの構築:リンパ管を有する三次元組織において、癌細胞の浸潤性増殖・リンパ管侵襲の病理形態学的解析を施行し、浸潤性増殖様式および脈管侵襲の特性を解明する成果を上げられた。 (3) 特異的阻害剤の作製:in silicoの立体解析による時計遺伝子産物の特異的阻害剤は、現時点では作製にいたっていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、胆道癌・膵癌細胞に対して (1) 胆道・膵の癌幹細胞の特性, (2) 三次元培養法による浸潤性癌微小環境モデルの構築, (3) 特異的阻害剤の作製の3点で研究を遂行した。(1)は、現在進行中であり、徐々に成果が出つつある。(2)は、順調に成果を上げられ、論文投稿準備中である。(3)は、現時点では特異的阻害剤の作製にいたっていない。(1)~(3)を総合的に判断すると「おおむね順調に進展している」といえる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度からの継続として、胆道癌・膵癌細胞に対して (1) 胆道・膵の癌幹細胞の特性, (2) 三次元培養法による浸潤性癌微小環境モデルの構築, (3) 特異的阻害剤の作製の3点で研究を遂行したい。(1)は、できるだけ早期に癌幹細胞の特性を確立して、時計遺伝子発現および細胞増殖能・浸潤能との関連を探求する。(2)は、三次元組織モデルをさらに発展させ、個体レベル(マウスモデル)への足がかりを確立した。(3)は、粘り強く特異的阻害剤作製への努力を行いたい。
|