研究課題/領域番号 |
17H04065
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
浅井 真人 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 部長 (70543536)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 内側側頭葉てんかん / 全般性強直間代発作 / てんかん発作動画自動解析 / 疾患モデル動物 |
研究実績の概要 |
今年度(2019年4月~2020年3月)はPIとして赴任した発達障害研究所でのてんかん研究の3年目であった。主に飯田真智子研究員と二人で2019年3月に無事終わった新棟SPF動物舎でてんかんマウスの量産化技術に取り組み成功した。新棟SPF動物舎でのLANを使って長期撮影システム構築もした。2018年度に不調であった人工知能を用いた長時間動画自動解析の代わりに、側面撮影と画像解析アルゴリズムを用いた既製品のてんかん動画自動解析装置を私費投入により購入して多数の動画ファイルのバッチ自動処理に成功し全自動でバイアスが無い全自動てんかん動画解析を達成した。これは通常はテクノストレスを伴う1000時間レベルの長期間動画の全自動解析につながる大きな成果である。2020年1月31日には医学研究各界で活躍するてんかん研究者を招聘した公開セミナーを主催した。その縁もあり新潟大学脳研究所の柿田明美教授とのコラボが開始しまず第一弾の報告書を得た。またかねてより計画していた環境医学研究所山中章弘教授グループとの脳波測定に関するコラボが確定した。組織学的解析のため滑走式ミクロトームREM-710を予定通り購入した。GAD2Creマウスも予定通り購入し現在繁殖中である。コロジオン包埋による美しいゴルジ染色技術も習得した。てんかんマウスに購入希望会社が現れ、現在名古屋大学知財部などと販売契約書作成中である。これは海外企業に続いて2社目の本特許導入企業となる。飯田真智子研究員は科研費申請により自らの基盤C資金を獲得した。日本神経科学会で成果発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年3月に研究所が新ビルに移行する一大事業を済ませ、その後の動物舎起動も順調に運んだ。また名古屋大学から確保した飯田真智子研究員と二人体制でのてんかんマウス成獣化が非常にうまく進展し、企業にまず4匹を販売する最終段階にこぎ着けた。世界的な企業に続き国内企業への販売が確定することで、本てんかんマウスの創薬市場での唯一性と価値が揺るぎないものと証明されつつある。共同研究も順調に進捗している。以上より、重要論文が作成できる可能性が確実になっているため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、ヒト・マウス共通の確実なてんかん原因遺伝子の産物が、アクチン重合において果たす機能を数値化するための基本的ツールとして高感度ルミノメーターを190万円ほどで購入を検討している。抗てんかん薬の創薬での利用拡大を目指して、自動てんかん発作判定システムの基本となる撮影箱設計などを国内企業と行う予定。また新潟脳研究所と共同でさらなる組織学的解析(電子顕微鏡含む)の発展、さらに滋賀大学田中琢真先生や山中章弘教授などと、「てんかんの普遍的原理」に関する考察にも取り組む。
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