研究課題/領域番号 |
17H04070
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
反町 典子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 分子炎症制御プロジェクト長 (30217468)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炎症 / アミノ酸トランスポーター / アレルギー |
研究実績の概要 |
本研究は、アミノ酸トランスポーターSLC15A4によるmTORC1制御を介した炎症制御機構の解明とリソソーム生合成系の制御機構を理解することを目的として行っている。本年度は、(1)マスト細胞におけるSLC15A4の分泌リソソーム合成制御機構、(2)SLC15A4会合分子の探索、(3)SLC15A3による免疫応答制御について、解析を進めた。 (1)マスト細胞におけるSLC15A4の分泌リソソーム合成制御機構:SLC15A4欠損マスト細胞において、mTORC1活性低下を介してTFEBの核内移行とそれに伴うリソソーム生合成系であるCLEARネットワーク遺伝子群の上昇が認められ、分泌顆粒形成にも形態学的異常が認められた。SLC15A4欠損マスト細胞ではヒスタミンおよびセロトニンの顆粒内含有量の増加と分泌機能の亢進が認められ、SLC15A4-mTORC1基軸はマスト細胞の恒常性維持と機能発現に重要であることが明らかとなった。 (2)SLC15A4会合分子の探索:免疫沈降法によってSLC15A4と共沈するタンパク質の同定を試みていたが、目的タンパク質の同定には至らなかった。現在ビオチンタグ法を改良した手法を用いてSLC15A4近隣分子を網羅的に同定するための細胞樹立を進めている。 (3)SLC15A3による免疫応答制御:SLC15A3とSLC15A4のダブルノックアウトマウスを作出し、疾患モデルを解析した結果、これら相同性を示す2種類のアミノ酸トランスポーターは独立の機能を有することを明らかになった。SLC15A3欠損マウスを用いて、種々の病態モデルを作出し、野生型との比較を行った結果、SLC15A3が重要な役割を果たす病態を見出し、そのメカニズムの解明を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SLC15A4会合分子の同定が順調に進捗しておらず、手法を変更して準備を進めているため、それについては遅延をきたしているが、SLC15A4のリソソーム生合成制御について、マスト細胞での知見の論文化が完了したこと、またSLC15A3の病態形成における重要な役割が見出されたことから予想外の研究展開に至ったことから、総合的にみると順調に成果が得られていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
SLC15A4会合分子の探索については、今後ビオチンタグ法の改良法に手法を変更して試みる。細胞準備を進めつつ、ビオチンタグ法の予備検討を進めている状況にある。また、予定より早くSLC15A3の病態形成における重要な役割が明らかとなってきたため、今後SLC15A3による病態形成のメカニズムについて論文化を進めたい。
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