研究課題
マラリアは蚊媒介席の熱性疾患であり、3大感染症の1つとしても世界的に注目されている。本課題ではマラリア感染症の病態形成メカニズムを免疫遺伝学的観点から解明することを目的としている。この目的のため、熱帯熱マラリアの症候性(有熱)マラリア・無症候性マラリア患者を対象に、流行地で観察される各病態の感染原虫及びヒト宿主遺伝子群の多型を次世代シークエンシング(NGS)により解析し、特に抗原とリンパ球間の相互作用に変化を与えるマラリア抗原変異の病態形成への影響を検討する。平成29年度は、患者サンプルの遺伝子解析を行うために、以下の準備を行った。まず、ケニアのMbita 地区で金子明教授(大阪市大)のグループにより2012~2015年に回収されたマラリア患者血液DNAサンプルを、本研究に使用することを決定した。さらにその中から、症候性(119例)・無症候性マラリア(100例)及び健常人コントロールサンプル(100例)を選定した。(このサンプルは既に血液からの抽出を終え、DNAの状態になっている。)NGS解析の準備としては、まずマラリア側から各種マラリア抗原や耐性関連遺伝子、宿主側からHLAを含む各種細胞膜表面抗原などを標的遺伝子として選定した。その後、各種遺伝子のPCRによる増幅などの実験条件、NGSのランで得られたデータの解析方法などの検討を行い、患者サンプルの解析に使用する条件を決定した。
2: おおむね順調に進展している
多少の変更は伴ったが、上記「研究実績の概要」に述べたように、本研究課題で予定しているマラリア患者検体の遺伝子解析を行うために必要な、1)サンプル面及び2)解析面、の準備が平成29年度は予定通り行うことが出来、ほぼ完了したため。
これまでに決定したNGS解析の条件で、マラリア患者血液由来DNAサンプルの遺伝子解析を行う。その後、遺伝子解析結果と臨床データなどその他の患者情報も組み合わせて、各解析項目と病態の関連について解析を進めて行く予定である。
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Sci Rep.
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10.1038/srep45963