研究課題
結核は世界中で蔓延し、800万人以上の新規患者、100万人以上の死亡者が現在でも出ている。我が国でも毎年多くの発症者が確認されており、先進国中では中等度発症国となっている。結核菌は宿主の体内環境に適応し長期に潜伏感染する細胞内寄生細菌であり、宿主の免疫力によって休眠状態になっている。世界保健機関 (WHO) の報告では人類の30%が結核菌に感染していると述べられており、そのうちの5~10%が感染後2年以内に活動性結核を発症するが大半は非発症のままである)。また一生のうち潜伏性結核感染が活動性結核に進展する(治癒後再発を含む)のは10%と言われている。しかしながら発症を防御するような予防ワクチンや治療薬、発症に至る詳細な解析や診断マーカーは存在しない。カニクイザルは唯一最良のヒト結核モデルと考えられており、ヒトで認められる病変が観察され、ヒトと同様の潜伏性感染/再活性化が再現されることから、詳細な病態解析も行われている。報告から低量の結核菌感染にてカニクイザルの45%が潜伏性感染になり、ヒトでの報告同様に抗TNF抗体投与で再活性化を促せる。本研究において解明されるべき点は1) 新規粘膜免疫誘導型ワクチンによる潜伏状態からの肺結核発症抑制効果と誘導される免疫反応の検討、2) 潜伏感染から発症に至るメカニズムの解析や診断マーカーの探索である。この目的を遂行するために、カニクイザルの非感染/潜伏感染/活性化のそれぞれのモデルを樹立し、コロニーを作製・維持を行った。また、結核菌の感染予防ならびに再活動化の抑制もできる新規粘膜免疫誘導型ワクチンを開発し、検討したところ、既存のBCGワクチン以上に肺での結核菌の予防効果を示した。さらに潜伏感染カニクイザルにおいては極めて効果的な免疫反応が呼吸器に誘導されていることは確認された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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