研究課題
基盤研究(B)
腸管の粘膜固有層では、ヘルパーT細胞が介在することなくIgAへのクラススイッチが誘導されるT細胞非依存的IgAクラススイッチと呼ばれる仕組みが存在する。本研究では腸内細菌由来の酪酸が、樹状細胞の活性制御を行うことで、T細胞非依存的IgAクラススイッチを促進し、粘膜面のバリア機能を高めることを明らかにした。
免疫学
近年、腸内共生バランス失調(ディスバイオーシス)が炎症性腸疾患、自己免疫性疾患、動脈硬化、がん、糖尿病、肝硬変などの発症と関連するとの報告が相次いでいる。分泌型IgAは腸内細菌のバランス制御にも関わっており、分泌型IgAの質と量を適切に保つことは、ディスバイオーシスの防止に重要である。よって、本研究で行った分泌型IgA抗体の産生機構の解明は、腸内環境の改善を標的とした新たな医療の発展に繋がるものと期待できる。