研究課題/領域番号 |
17H04091
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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研究分担者 |
村松 公美子 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 教授 (60339950)
吉永 尚紀 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 講師 (80633635)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | うつ / 不安 / 認知行動療法 / 医療経済 / 社交不安症 |
研究実績の概要 |
「うつ不安レコード」という名称のiOSとAndroid用アプリをリリースし、「うつ不安の患者自主登録データベース研究」へのInformed Consentを得た後、患者がうつ(PHQ-9)、不安(GAD-7)および QOL(EQ-5D) に関する尺度スコアと医療費(10割負担に換算)、薬剤費、通院費を記録でき、自己管理に役立てるシステムを構築した。これにより、薬物療法の患者群と認知行動療法の患者群の間で、費用負担の比較を行えるようになった。また、医療者側は、「うつ不安スコアの医療者登録データベース研究」によって、認知行動療法を行う経過で、うつ(PHQ-9)、不安(GAD-7)のスコアを毎週登録できる体制を構築し、患者のアプリ入力と連携できるようにした。また、社交不安症の個人認知行動療法の臨床試験の一年後の予後調査研究において、EQ-5DによるQALY(質調整生存年)1.19567の増分効果に対して、公的保険点数による複数の増分費用をシナリオとして想定しても、ICER(Incremental Cost-Effectiveness Ratio)が500万円以内であり、費用対効果が高いことが示された。強迫症、社交不安症、パニック症のオンラインでの認知行動療法についても一年後の長期予後についての検討を行い、費用対効果が高いことを認めた。一方、インターネット上で、不眠の問題を二週続けて抱えているが、うつや不安の症状は、閾値下である成人79名に対し、Stepped Care として開発したセルフヘルプ認知行動療法プログラムを提供し、4週後、8週後に症状改善を認めた。今後も、本プログラムでの費用対効果の検証を進めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者が自己症状管理のために、自分で毎月 1 回、うつ・不安および QOL に関する尺度スコアと医療費等を入力する患者情報レジストリーサイトを開発し、現在の日本の通常医療で、年間で金額として何円かかるかの医療コスト(費用対効果)を 明らかにする体制を整えることができた。さらに、うつ・不安のスクリーニングによって、診断基準に達していない」あるいは「軽症」患者に対し、不眠改善のインターネットのコンピュータプログラム(セルフヘルプ認知行動療法)を提供し、有効性を確認するることができた。
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今後の研究の推進方策 |
患者のうつ尺度 PHQ-9スコア、不安尺度GAD-7スコアを把握し、Stepped Care モデルとして、低強度(low-intensity)のセルフヘルプの認知行動療法を、これまでの薬物療法や高強度(high-intensity)の対面での個人認知 行動療法以外の治療の選択肢として用意し、提案する。また、その後は、レジストリーサイトから、開発した専用のWEB サイトに誘導し、そこで、心理教育とアクティブ・モニタリングでの経過観察として、読書療法や認知行動療法を活用した毎日5分でできるエクササイズへ誘導し、改善の程度を明らかにする。
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