研究課題/領域番号 |
17H04092
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
住吉 智子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50293238)
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研究分担者 |
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10323966)
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
外山 紀子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80328038)
中島 伸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40293188)
坪川 麻樹子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (10567431)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子どもの食行動尺度 / 感覚モダリティ / 小児がん患児 |
研究実績の概要 |
次の2点に関する実証研究を進めており,基礎的知見を蓄積した. 1.乳幼児の食に深くかかわる保育士の食に関する知識,対応の現場教育の実際:乳幼児の食に関する知識の程度と,保育所で,乳幼児への食を支援するにあたり,どのような悩みを抱えているのかを調査した.新潟県内111件(55.2%)の保育所から回答を得た.幼児の食・アレルギー対応の保育士への教育体制に関して,107件中,67件(62.6%)が施設内での教育は十分である,40件(37.4%)が教育は不十分であると回答した.この結果から,保育士は幼児の食支援・指導に関して,半数は現任教育と対応強化の要望があることが示された. 2.幼児の食欲に関する食意欲の心理量測定ツール開発:海外においては,幼児から就学児向けには,大きく分類するとPicture Scale,VAS,Questionnaireの3つが主流であった.これらの尺度をもとに,マグニチュード法を搭載した新たな食意欲の心理量測定ツール尺度開発を行った. 保護者向けには,「The children's eating behavior questionnaire(CEBQ)」の信頼性が確保され,複数の国で実証研究が行われていた.今後は,尺度を用いた健康な子どもへの信頼性の確保,質問紙については,日本語版の作成と表面妥当性を検討する. 3.退院後の小児がん児の晩期症状の学校関係者の理解と対応:県内小・中学校養護教諭203名の回答があり(回収率58.3%) ,経験年数21年以上の養護教諭は,経験年数が20年未満の養護教諭より「治療による食欲不振」「治療の副作用による容姿の変化」「通学の困難さ」「小児がんの予後」について有意に知識があると回答した.養護教諭の経験年数が小児がん患児の学校生活への支援に影響することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究の内容分析に時間を要した.また調査は,学内の倫理審査委員会の組織再編成のため申請期間が延期したこと,得られたデータは内容の多様性から分析整理に予想以上に時間が必要となったことから,やや進度に遅れをとってしまった.ただし,マグニチュード法を搭載した3Dの尺度(プロトタイプ)の制作は順調に進んだため,次年度の実験調査に向けた準備は整えることができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,次の2点についての実証研究を進める. 1.健康な幼児(4-6歳)の空腹―満腹尺度プロトタイプの妥当性の検証:尺度と質問紙による昼食前後の回答による検証を行う予定である.(準実験調査) 小児がん患児に使用する前に,使用状況,回答する状態,要する時間,妥当性を検証する.空腹時と満腹時にそれぞれ測定し,前後比較調査を行う.また,それらが尺度と一致するかを検証する. 2.保護者向けの子どもの食行動調査を実施する.保育所あるいは幼稚園に依頼し,The children's eating behaviour questionnaire(CEBQ)の日本語版を実施する.まずは,日本語版の表面妥当性を栄養関連および発達心理学の専門家による検証を行い,プレテストを実施してから行う. 研究の遂行については,プロトタイプをすぐに小児がん患児向けに適応させるのではなく,健康な幼児の心身の状態や影響を調査してから,妥当性と信頼性が確保されてから実施することに研究を軌道修正した.
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