研究課題/領域番号 |
17H04092
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
住吉 智子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50293238)
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研究分担者 |
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10323966)
坪川 麻樹子 新潟医療福祉大学, 看護学部, 講師 (10567431)
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
中島 伸子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40293188)
外山 紀子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80328038)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 感覚モダリティ変換 / 満腹度測定 / 小児がん患児 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,小児がん患児の「食への意欲」の心理量を物理量に変換し,それを実装した意欲評価ツールを開発することを目的とする.同時に,小児がん患児の食欲の表現と,それを保護者がどのように捉えているかの差も明確にする. 1.小児がん患児(男子4名,女子4名,平均6.3歳(範囲4-10歳))とその保護者9組に対して,食前と食後に空腹の具合,満腹状態について,開発した木製カード型の心理量測定ツール(5段階,数値が大きいほど満腹度高)およびVAS(13.5cm幅,数値が高いほど満腹度高))を使用して対応するt検定により,前後比較ならびに子どもと保護者比較を実施した.心理量測定ツールを用いた結果,有意に満腹度の上昇を認めた(t=-3.5,p=.009).しかし,母親は有意差を認めなかった(t=-1.4,p=.195).一方VASでは患児は前後比較で有意差を認め(t=-5.2,p=.001),母親も同様に有意差を認めた(t=-2.63,p=.006).この結果から,子ども自身の空腹―満腹感覚については,どちらの尺度でも測定できる可能性が示唆された.一方,母親の観察と判断は,子ども自身が感じていることと異なることが示唆された. 2.小児がん児の晩期症状に関する養護教諭の支援と認識:新潟県内の小学校・中学校で,慢性疾患児童生徒の支援経験を有する養護教諭129人は,支援の中で困難に感じていることとして「本人の病気への理解不足」24.8%,「保護者との連絡調整」18.6%,「他の教員の理解不足」14.0%,「周囲の児童生徒の理解不足」14.0%と回答があった.小児がん児を含む,慢性疾患患児への退院支援として,症状や晩期合併症だけでなく,子どもの疾患についての表現方法について支援する必要性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小児がん患児を対象としたデータ収集を進めていたが,COVID-19の感染拡大により,病院内の立ち入りができなくなったことによりデータ収集ができなくなったため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であることから,現在までの実験的データを収集し,空腹度や満腹度を測定できる心理量測定ツールの信頼性と妥当性確認を行う.さらに,看護職の食欲不振を有する小児へのケアを行なっているのか調査範囲を広げてデータ収集を行い,それらをまとめた「小児がん患児への食支援への看護指針」の完成を目指す.
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