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2017 年度 実績報告書

粒子線治療の費用対効果評価のための標準的な手法とデータに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17H04099
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

森脇 健介  神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (10514862)

研究分担者 林 宏至  北海道大学, 大学病院, 特任講師 (10622532)
奥村 敏之  筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50241815)
清水 伸一  北海道大学, 医学研究院, 教授 (50463724)
加藤 徳雄  北海道大学, 大学病院, 助教 (80572495)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード費用効果分析 / 陽子線治療 / 先進医療
研究実績の概要

肝癌に対する陽子線治療をモデルケースとした費用対効果評価の標準的手法の確立を目的とし、本年度は以下3点の取り組みを行った。
(1)費用効果分析のモデル構造およびパラメータの検討:一般に、がん治療の費用効果分析では分割生存曲線モデル(Partitioned survival model:PSM)を構築し、対象集団のアウトカムを計算することにより評価対象技術の効率性を評価する。PSMでは、癌患者の予後を無増悪での生存、増悪での生存、死亡の3状態に分けてモデル化するが、異なるモデル構造の可能性について、臨床専門家より意見聴取を行なった。また、モデル分析に必要なパラメータは確率、QOL、費用に大別され、これらの推定可能性について整理を行った。
(2)追加的有効性・安全性の検討:PubMedなどの文献データベースを用いて、肝癌を対象とした陽子線治療の臨床試験を網羅的に収集した。結果、TACEと比較したランダム化比較試験の中間解析が1件、単群試験が数件が同定された。
(3)レセプトデータの電子化及びデータ構造の検討:先進B臨床試験において陽子線治療を受けた患者のレセプト及び領収書(数症例分のサンプル)に記載されている各種情報を電子化し、指定されたパネルデータの形式に整形した。作業で生じた課題について協議し、最も妥当とも思われるデータ構造を検討した。また、作成データから費用パラメータを推定するために、単純集計及び統計モデルを用いた解析法の整理を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

専門家意見の聴取等の検討を経て費用効果分析のモデルの基本構造は確定した。また、費用パラメータの推定方針も、比較対照のTACEの一部パラメータを除いて確定している。追加的有効性・安全性については、現在もエビデンスが確立していないが、単群試験における間接比較法などを先進B臨床試験のデータに適用することにより、費用効果分析に必要なパラメータ推定は可能と考えられた。レセプトの電子化、データ整形、解析法についても手順は確立しているため、今後患者データの蓄積を進めることにより、必要パラメータの推定が可能である。したがって、おおむね計画通りに進展しているものと考える。

今後の研究の推進方策

今後、主に以下の4つの取り組みを行う。
(1)追加的有効性・安全性に関する間接比較法の検討:先進B臨床試験は単群試験であるが費用効果分析を実施するためには、TACE群と比較した陽子線群の追加的有効性・安全性を評価する必要がある。したがって、単群試験に基づく間接比較法を検討する必要がある。諸外国では同様の状況における間接比較の方法に関する研究が進んでおり、いくつかの手法が提案されている。本年度はこれらの先行研究を参考に、本事例で適用可能と思われる方法とデータ源の特定を進める。
(2)レセプトデータベースの構築および解析法の検討:昨年度に決定された方針の下、先進B臨床試験で収集されるレセプトをもとに、電子化およびパネルデータ形式への整形作業を継続して実施する。単純集計や統計モデルを用いた解析を実施し、陽子線郡の費用パラメータの推定可能性を検討する。また、JMDC claim database等をもとにTACE群の費用パラメータの推定可能性を検討する。
(3)対照群のQOLデータの利用可能性の検討:陽子線群におけるQOLのパラメータは、先進B臨床試験で収集するEQ-5Dのデータをもとに推定することを予定している。一方、TACE群のQOLパラメータの推定方針は確定していない。費用効果分析では、①両群のベースラインQOL値を同じと仮定し、有害事象によるQOL低下で治療間の差を推定する方法や②患者レベルのデータをもとに各治療のQOL値を推定する方法が考えられる。本年度は、TACEのQOL評価研究に関するレビューを行い、①および②の適用可能性を検討する。
(4)探索的な費用効果分析の実施:Partitioned survival modelを構築し、利用可能なデータ源のもとで探索的な費用効果分析を実施し、課題抽出を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Present developments in reaching an international consensus for a model-based approach to particle beam therapy2018

    • 著者名/発表者名
      Anussara Prayongrat, Kikuo Umegaki, Arjen van der Schaaf, Albert C Koong, Steven H Lin, Thomas Whitaker, Todd McNutt, Naruhiro Matsufuji, Edward Graves, Masahiko Mizuta, Kazuhiko Ogawa, Hiroyuki Date, Kensuke Moriwaki, Yoichi M Ito, Keiji Kobashi, Yasuhiro Dekura, Shinichi Shimizu, Hiroki Shirato
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research

      巻: 59 ページ: 72-76

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 免疫チェックポイント阻害薬の医療経済2017

    • 著者名/発表者名
      森脇 健介
    • 雑誌名

      ファルマシア

      巻: 53 ページ: 976-978

  • [学会発表] レセプトデータベースを用いた肝臓癌治療の医療費分析2018

    • 著者名/発表者名
      萩野 優, 森脇 健介
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] エクセルを用いた確率的感度分析の実践2018

    • 著者名/発表者名
      森脇 健介
    • 学会等名
      国際薬剤経済アウトカム研究学会(ISPOR)日本部会 賛助会員向け企画ワークショップ
  • [図書] 詳説薬剤経済学 : 次世代に向けた医療経済学・地域医療学2017

    • 著者名/発表者名
      恩田 光子, 砂川 雅之, 森脇 健介, 栁澤 振一郎
    • 総ページ数
      397
    • 出版者
      京都廣川書店
    • ISBN
      9784906992904

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公開日: 2018-12-17  

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